感染しても自宅療養が基本となっているいま、
そして子どもたちの感染が続いているいま、
できることはウイルスの挙動にあわせた自衛策しかない。
社会生活をとめずに感染予防策をがんばってみよう。

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国のメッセージングがひどすぎる

「新型コロナは、どうせ全員がいつかは感染する病気だ。ムダな抵抗をする必要はない」という意見もある。全面降伏派だ。私がこの意見に与しないのは、全面降伏しても、けっして事態がよくなるわけではないことを、スウェーデンや英米が証明しているからである。

「もう日常を戻せ。欧米はそうしている」という意見をよくよく吟味してみると、つまりはマスクをとりたいということらしい。ノーマスクでサッカーの応援をしている場面だけをみて、日常を取り戻していると言っている。もっとマクロで見る必要があるだろう。

労働者の約15%がLong COVIDに悩んでいたり、20万人のコロナ孤児が生まれていたりするのが、アメリカの実情である。イギリスでは医療崩壊が続いており、救急車は平均11時間待ちである。ここまでの死者数の多さも日本の比ではない。それだけの痛みを経験しながら、なおかつ感染は続き、後遺症も合併症も増える一方だ。

いまマスクをとって、この世界に突き進むか、持ちこたえるかという選択が私たちにつきつけられている。日本は群を抜いて感染率が低いのだから、この状態をなるべく長く維持し、医療崩壊をなんとかする努力をするほうが、結果として社会的負担は小さくなると私は考えている

そのためにも、国はもっと正しい情報を広報すべきだ。最も残念に思ったのが、療養期間の短縮である。そして最も呆れたのが、「療養期間あけに宴会をやって全滅した例」である。宴会ではないが、同様に学校に8日目に復帰して、クラスターを出した事例もあるようだ。わざわざ自滅するスタイルである。

発症日から数えて8日目以降も、感染性をもつ人はいる。しかし、そのことが全く国民に伝わっておらず、「療養期間が過ぎたら、もう平気なんだよね」と思っている。メッセージングが貧弱というか、なさすぎて呆れるほかない。「感染してから2週間は、高性能マスクをして過ごしてください」の一言を、なぜ追加しないのか。いまからでも遅くない。「戸外ではマスクを外そう」キャンペーンをやめて、感染を爆発させないためのメッセージングに変更するべきだ。

いまは5つの徹底が必要な時期である。

  • 体調が悪ければ休んでいいと徹底
  • 家族が感染したらお前も家にいろと徹底
  • 熱が出てもすぐには検査するな、1日待てと徹底
  • 検査キットは体外診断用のものにしろ、研究用は使うなと徹底
  • 療養期間が終わってもさらに10日間くらいはマスクしておとなしくしてろと徹底

これを告知するだけでも、感染増大カーブをゆるくできると思う。第8波はすでに過去最悪だが、さらなる衝撃が待っている。本番が始まるのはXBB.1.5が上陸してからだ。それまでに、感染を拡大させるばかりの自滅行為はひとつでも減らしておきたい。

なお、子どもたちのためにやれることはまだある

感染予防の話は「マスクをいつまでやるんだ。子どもたちがかわいそうではないか」という感情的な議論になってしまうことが多いので、最後に書いておきたいことがある。

全員マスクは検査の代わりである。
全員マスクは検査の代わりである。
全員マスクは検査の代わりである。

大事なことなので、3回繰り返した。「マスクは症状のある人だけがつければいいはずだ」という人が多い。新型コロナウイルス感染症は、発症前の見た目は元気な人もウイルスを出すことを忘れている。「マスクは感染性のある人だけがつければいい」というのであれば、正しい。

感染性があるかどうかは、検査をしないとわからない。毎朝全員検査して陰性を確認するなら、マスクをする必要はない。しかし、到底そんなコストを支払えないから、とりあえず全員マスクしよう、という話なのである。

逆に、適宜検査をとりまぜれば、子どもたちにノーマスクの運動会や修学旅行を提供できるということだ。国や地方自治体は、学校に検査の予算をつけるべきだと思う。たとえば、運動会の3日前・当日の朝・3日後に家族全員で検査(抗原定性検査でいい)をしてもらう。これなら、ノーマスクで運動会をしても問題ない。子どもたちにノーマスクの瞬間を安全に提供すると同時に、家族全員の検査をすることで、地域単位の防疫にも役立てる。これくらいの工夫はして欲しい。子どもだけでなく、家族も一緒に検査するところに、このアイディアの核心がある。

ところで、私自身は、家庭内感染が問題になるに決まっているのに使える薬剤がないことに呆れ*11、2020年4月から独自に研究をはじめ、GSE(Grapefruit Seed Extract)という植物エッセンスにたどりついた。その後、アメリカでGSEを含む点鼻薬が新型コロナ中等症患者の治療に使われ、早く治癒したという論文が出て、かなり驚いた。

GSEはエビデンスが豊富で、ここまで多数の実績も積んできた。ニーズがあるならば、後編としてGSEと鳥インフルエンザ対策の話を書こうかと考えている。


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注記

*11 自宅療養者を抱えた場合、部屋中を消毒したくなるが、アルコールを使うと爆発・炎上の危険があり、次亜塩素酸系の薬剤を使うと、塩素の匂いに困るし、けっこうモノが壊れる。そしてどちらも大量に、頻繁に使うと、健康被害の危険がある。とくに小さい子がいる場合は要注意だ。手指消毒したアルコールを舐めた子が、急性アルコール中毒で搬送された事例がある。

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