断水時の感染症対策

令和6年能登半島地震の被災者の方々にお見舞い申し上げます。
とくに避難所で感染症が流行しているとのこと。本当に心配です。二次避難所への移動も含めて、さまざまな手がうたれているようです。ご無事を祈念いたします。

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さて、本題である。なぜ能登半島の避難所で感染症がひろまっているのか。その分析から始める。今後、能登半島でボランティア活動する予定の方もいらっしゃるだろう。ぜひ、行く前に読んでもらいたい。被災者を守るだけでなく、我が身も守ることにもなるからだ。

断水がともかく最悪

地震により、能登半島のほぼすべての地域で断水が続いている。じつは水こそが、感染症対策に最も必要なものだ。

  • トイレ後もろくに手を洗えない
  • トイレを流せない
  • 着の身着のままで、洗濯もできない
  • 料理がしづらく、皿を洗うのも不自由

断水が続くだけで、もうこれだけの困難が続く。新型コロナが話題になりがちだが、避難所では菌由来の胃腸炎やノロウイルスも多い(被災して心身ともに疲れ果てているという事情もあるだろう)。逆にいうと、日本が比較的感染症に強いのは、豊富な軟水資源があるからだ。これは地理条件に感謝である*1。SARS(重症急性呼吸器症候群。2002年)の流行を抑えられなかった上海で「日本人は毎日お風呂に入るらしい」と驚きの声があがったという話が残っている。いつでも気軽に手を洗え、毎日風呂に入り、衣類は洗濯機にいれて着替える。この私たちにとってはなんでもない日常が、感染症を防ぐ重要なポイントなのである。

衣類をおいそれと洗濯できないことはとくに辛いだろう。手洗いはアルコール消毒という代替手段があるが、衣類全体にアルコールをふりかけるわけにはいかない(冬場だし、下手すると着衣着火の危険もある)。感染症を相手にする人たちは防護服を着て衣類の汚染を防いでいるが、被災者にはそれもなく、まるで無防備なまま過ごす時間が長いということだ。

換気が難しく、長時間

新型コロナ・パンデミックで、新しく人類が得た知見がいくつかある。

  • 不顕性感染が多い病気もある
  • 発症していない人が周囲に感染を意外にひろげる病気もある
  • 病原体は意外に空気中を漂い、感染をひろげる
  • 全員がマスクをすると、上の「意外」を相当程度抑えられる

である。避難所では当然、マスクをすることが求められる。しかし、本来マスクは感染者が飛沫やエアロゾルをふりまくのを効果的に防ぐ一方、吸い込むのを防ぐ能力には万全ではない(隙間だらけの着用をしているとなおさらである)。

つまり、マスクの効果には限界があるということだ。そこで重要なのが換気である。換気は空気中を漂う病原体の濃度をうすめるので、それだけでも効果があるが、同時にウイルスの感染性を早く奪うこともわかっている*2

今回の能登半島地震は冬場に起きた災害であるため、換気をしづらいという問題がある。また、体育館のような容積の大きい空間での換気も難しい。つまり被災者は、長時間にわたって換気の悪い部屋にいなくてはならない。これはかなり厳しい環境だ。

空気清浄機も効果がある

この場合、使える手は空気清浄機しかない。浮遊するウイルスの飛沫核をフィルターで除去しようという話だ。そもそもウイルスはその大半がホコリに付着して浮遊しているから、ホコリを吸着するだけでも大きな効果がある(微小なウイルスは静電気でホコリに付着してしまうのだ)。

ただ、問題は普通の家庭用空気清浄機では能力不足ということ。目的が違うのだから仕方がない。空気中のウイルスを除去することを目的とするなら、もっと強力な空気清浄機がいる。性能のよさで注目を集めているのがCorsi-Rosenthal BOXというDIY前提の空気清浄機だ。UC Davis校のリチャード・コルシ(Corsi, Richard)が公表した自作空気清浄機のアイディアをTex-Air FiltersのCEO、ジム・ローゼンタール(Rosenthal, Jim)が具体化したもの。フィルターとファンでカンタンに組み上げる空気清浄機である。

イラストで一目瞭然だが、従来型の空気清浄機と比べて、フィルター面積が単純に5倍だ。これがCorsi-Rosenthal BOXの能力の秘密である。しかもガムテープがあればつくれてしまうし、この構造にすると音も静かにできる。
cf.
https://corsirosenthalfoundation.org/instructions/

素人にとってちょっと厄介なのがファンの確保だが、自作PC用のファンを複数使う手をローゼンタール自身が発表している。たしかにこれなら部品を調達しやすく、バッテリで動かすのも容易。今後は、廃棄するPCからファンだけでもとっておくといい。
https://twitter.com/JimRosenthal4/status/1629621053365395456

また、国内でも同じくフィルター面積を広くとった空気清浄機が出ている。「クレアウィンBOX」(株式会社CLEAIR)なら、ファンもフィルターも揃っており、組み立てるだけだ(今回、これを七尾市へも寄付されたそう)。

床の対策が穴

換気の問題は空気清浄機の併用で補うとして、やはり問題は断水が続くと、飛沫感染・接触感染対策をやりづらいことだろう。手洗いと洗濯・清掃ができないのはあまりにも痛い。

手洗いができない弊害は言うまでもない。洗濯についても、すでに説明した。感染者の飛沫を衣服に浴びたままの衣服はウイルスの供給源である。しかし、それをクリアする機会がない。入浴と洗濯を毎日できる日常が、いかに感染症対策に役立ったかがわかる。

そしてもうひとつ、清掃の問題もある。とくに床清掃が重要だ。ヒトが吐出した飛沫は大半が水分で重いから下に落ちる。これが「フィジカルディスタンシングが有効」といわれる理由だが、当然、床は汚染されているわけだ。

落ちた飛沫はやがて乾燥し、ホコリにのってウイルスが漂いはじめる。新型コロナウイルスの場合、こうして浮遊する乾燥した状態でも、数時間は感染性を保つことがわかっている。この状態で下手に掃除機をかけるとウイルスが舞うだけなので(そもそも停電していると無理)、モップ清掃をしてホコリをなるべく取り除くようにするといい。

なお、モップ清掃でもテーブルの清掃でも、「一方向に動かす」ことに留意しよう。エチケットプラシを使ったことがある人ならわかるだろう。往復運動させると、せっかく取り除いたホコリを再びぬりたくってしまうのだ。

床対策という意味では、トイレの履物を別にすることも大事である。もしもこれができず、土足で使うしかない場合は、台所用除菌剤を含ませたマットを用意して踏んでもらうなど、足元を消毒する何らかの手段を考えるといい。ウイルスは靴裏について旅をするからである。ノロウイルス対策としても、これは有効である。

GSE(Grapefruit Seed Extract)との出会い

ここからはステマ規制(景品表示法)にのっとり、宣伝であると予め書いておく。
私は2020年2月から3月にかけて、新型コロナウイルスについての情報を集め、以下の分析をしていた。

  1. 鳥インフルエンザ対策もそうであるように、足元や床のケアが問題になる
  2. きっと空気感染もしている(その後、3密の指摘で確信)が、空間除菌は難しい。対策は換気しかない
  3. 空気清浄機も効果ありそうだが、家庭用では能力的に不足
  4. 頻繁な手指衛生や衣服の除菌も鍵になるが、適切なものはない。アルコールには限界がある
  5. 新型コロナウイルスだけでは終わらない。これから先、人類は多様な菌・ウイルスによる感染症と戦う必要が次々と出てくる

イタリアの病院が重症肺炎患者であふれ、ものすごい状況になっているニュースを見ながら、「課題山積だ」と思っていたところに知ったのが、GSE(Grapefruit Seed Extract)という植物エッセンスである。2020年4月27日のことだった。グレープフルーツの種子を絞ったものである。

そこから研究開発をしたわけだが、結論を書いておく。断水環境での感染制御には、GSEと空気清浄機の組み合わせを勧める。そしてもちろんこの組み合わせは、オフィスでも教室でも有効だ。

アルコールと比較しての利点

GSEを使う利点は、アルコールと比較するとわかりやすい。以下の通りだ。

  • 広範囲に使える
    ほとんどただの水で火災の心配がないから、床など広範囲に使える。当然、災害用に備蓄するのも問題ない。アルコールは火災の危険があるため、保管場所が限られるし(消防法)、大量保管していると引火で爆発するなど、被災状況を悪くする危険もある。
  • 手荒れもなく、安心してふんだんに使える
    GSEは既存添加物(食品添加物)としても認められている安全な植物エッセンス。海外ではサプリメントとして飲用もしている。ペットにも安全だ(通常のペットはアルコールを分解できない)。手荒れもしないから、頻繁な手指衛生にも最適。
  • 効果が持続する
    そもそもGSEは種子から抽出した油分で、揮発しにくい。そのため、除菌効果が持続する。つまり、床などにたっぷりスプレーしておくと抗菌性をもつということだ。アルコールや次亜塩素酸水は効果が一過性で、たとえ環境消毒に使ったとしても、再び感染者が飛沫をとばすと元の木阿弥である。GSEは効果が持続するから、落ちてきたウイルスを抑制し続ける。

つまり、安全性と効果の持続性が利点である。なお、GSEの内容成分分析をみると、含まれているのはナリンゲニンなどの脂肪酸フラボノイドだ。グレープフルーツがつくりだした抗酸化物質のカタマリである。他の塩素系の薬剤は酸化物質であり、除菌のメカニズムが違う*3

調べれば調べるほどGSEはおもしろい植物エッセンスだった。アロマオイルの一種と言いたいが匂いはない(果肉や皮ではなく、グレープフルーツの種子から抽出しているため)。実用化されたのは30年ほど前のアメリカ。Jacob Harich博士が製造法を確立して以来、多数の食品・化粧品の品質保持剤として使われてきたもの。アメリカでもGRAS(Generally Recognized As Safe)登録されており、日本では既存添加物(食品添加物)指定されている、安全性は折り紙つきだ。

植物も菌やウイルスと戦っているから、自衛手段として抗菌力をもっていることは珍しくない。日本人はよくその能力を知っていて、寿司を笹や柿の葉でくるみ、おにぎりを竹の皮で包んだ。弁当の仕切りに使うハラン(いまは圧倒的にプラスチックだけれど)も除菌力がある。

茶葉の緑茶フラボノイドが新型コロナウイルスを抑制できることも複数の研究で明らかにされている。植物のチカラを生かすのは生活の知恵だ。そして、これらの中で、GSEは群を抜いて除菌力が強い。

断水環境で効果を発揮するGSE(Grapefruit Seed Extract)

これらの特徴から、GSEは断水時にきわめて有効であると結論できる。水がなければ手洗いも洗濯も料理も難しいが、GSE水溶液はその多くを代替する。

  • 頻繁な手洗いの代替
    頻繁な手指消毒が可能。手荒れもしない。
  • 洗濯の代替
    衣服にスプレーすれば抗菌性となる。塩素系除菌剤のような派手な脱色も起きない。
  • 料理時の水の節約
    黄色ブドウ球菌からカンピロバクターやO157まで、食中毒をおこす微生物にはよく効く(だからGSEは食品の保存料として使われている)。既存添加物でもあるので料理に残留しても問題はない。GSEをキッチンで多用することで水を節約しながら衛生的な調理ができる。また、GSEを食器にスプレーしてから洗うなどで、皿洗いの水も節約できる。
  • 床清掃への利用
    GSEをモップ清掃に使うと、床を抗菌化することができ、菌・ウイルスの感染リスクを下げる。清掃担当者の感染リスクも下げる。
  • トイレマットへの利用
    トイレの入口のマットをGSEで濡らしておくと、靴裏の除菌ができる。また、トイレ清掃にも極めて有効(消臭もする)。避難所でスリッパを用意できないときは、玄関マットをたっぷりのGSEで濡らしておくとよい。

なお、GSEでネット検索をすると、合成殺菌剤成分が検出されたという記事が出てくるが、もうその問題は業界が取り組んで解決している。また、高血圧薬を飲む人にグレープフルーツは禁忌だが、そこで問題となるフラノクマリンという成分は果肉などに含まれているもので、種子には含まれていない。

汚濁環境で効果があることも重要

「除菌力がある薬剤」はGSE以外にも多数ある。ただ、断水環境を前提とするなら、重要なポイントがある。汚れた手やモノの表面など、汚濁環境でも効果があるかどうかだ。断水時は石鹸で手を洗ったり、床やテーブルを清掃したりすることもままならない。

市販の除菌剤で実証した研究がある。やはり予想通り、次亜塩素酸系の除菌剤は汚濁環境には弱い。有機物に反応して除菌力を失うからだ(だから国も、次亜塩素酸水の使い方として、対象物をまず清掃してから使うことを推奨している)。汚濁環境で除菌効果があるのは、アルコールとGSEのみである。
cf.
「“除菌”などをうたった製品の消毒効果」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsei/36/3/36_157/_article/-char/ja
(表中にある「シトラリッチ」がGSEであり、BNUHC-18の相当品)

断水が続いていると手洗いもやりにくいので、汚濁環境で効果があるかどうかは大きな鍵である。GSEの場合、アルコールの効きにくいノロウイルスも抑制できるという研究もあり、トイレ清掃にも効果を発揮する。
cf.
グレープフルーツ種子抽出液(GSE)によるノロウイルス代替ネコカリシウイルス不活化効果
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902245084285921

つまり、GSEで手指/衣服/靴裏/床などをケアすることで飛沫感染・接触感染対策を行うと同時に、空気清浄機で空気感染対策を行う。この組み合わせが、避難所の感染リスクを大きく下げると期待できるわけだ。GSEはアルコールを使えないイヌやネコなどペットに対しても有効であることもポイントである。

事実、尼崎市の幼稚園が、2021年1月からGSE(BNUHC-18)を導入し、手指衛生やトイレ清掃に使い、今日にいたるまで新型コロナ/インフルエンザ/アデノウイルス感染症を含む感染症のクラスター発生ゼロを達成している。幼稚園の環境は避難所のそれと類似しているので、参考になる実績だといっていいだろう。
cf.
「いまだ園内クラスターなし」――ある幼稚園の使用例
https://bnuhc.info/archives/2024/casestudy20240129/

GSEを調達し、商品化

2020年に話は戻る。手荒れするため頻繁な手指衛生がやりづらく、床などの広範囲に使うことも難しいアルコールだけでは新型コロナウイルスに対抗するのは難しいと考えてGSEの研究をしたわけだが、もちろん私がGSEを輸入できるわけでも、GSE水溶液を製造できるわけでもない。

研究開発にメドがついた2020年6月から、国内でGSE水溶液を製造しているところを探した。たどりついたのが、ココチプラス株式会社である。訪問したのは2020年8月5日のことだ。

驚いたのは、同社は独自技術で、無添加のGSE水溶液を製造していることだった。GSEそのものは油分なので、単に水を足したところで分離するだけである。通常はグリセリンを界面活性剤として添加している。水と油をグリセリンがくっつけているわけだ*4

ココチGSEは違った。独自技術で、グリセリンフリーなGSE水溶液を製造している。内容物は高純度精製水とGSEのみ。つまり、100%天然だ。ふんだんに床などに使うことを前提にすると、グリセリンを含まないのはありがたい。

こうして調達問題もクリアし、同年9月にGSEを室内の露出空間に自動コーティングさせるマシン・MISTECTを発売。2021年1月にGSE水溶液であるBNUHC-18を発売したという経緯である。

BNUHC-18はバロホンボックスで提供

MISTECTはブラウン運動を利用してGSEをくまなく室内の露出表面に付着させる装置。きわめて高性能だが、まずは手軽に使えるGSE水溶液・BNUHC-18に絞ってご紹介する(MISTECTは機会を改めて詳述する予定)。

BNUHC-18を商品化した理由は、ハンドスプレーなどでGSEを活用できるようにしたかったからだ。そのためには、価格を安くする必要がある。すでに世の中にGSE水溶液のスプレー商品があったが、3,000円/300mlくらいの価格。手荒れもなく頻繁に使えることがGSEの長所なのに、コストがそのジャマをする。少量使用では感染力の強い新型コロナウイルスやノロウイルスとは戦えない。

自分たちでも試算すると同様の価格になる。大量生産できる状態ではないからだ。悩んでいたが、2020年も後半になると多様なスプレーボトルが安価に売られていることに気がついた。コロナ禍でニーズが増えたためだろう。ならば、ユーザー自身に好みのスプレーボトルに詰め替えてもらうスタイルにすればいい。これで大幅にコストダウンできる。

こう割り切って、バロンボックスで提供するBNUHC-18を発売した(2021年1月)。容量は2タイプで、5Lと20Lである。価格だけをみるとアルコールより若干割高だが、GSEには効果が持続するという大きな特徴があり、頻回使用しなくても除菌効果を期待できるから、トータルコストは安くなる(なお、「BNUHC-18災害対策備蓄スターター」は、さらに安価に設定してある)。

被災地に支援

今回の令和6年能登半島地震の避難所で、新型コロナやノロウイルスが流行しているというニュースを読み、七尾市在住の方と連絡をとって、BNUHC-18を50Lとスプレーボトルを寄付した。

ボランティアに行かれる方にお願いがある。もしも避難所でBNUHC-18を見かけたら、積極的に使っていただきたい。真っ先にやってもらいたいのが、玄関マットとトイレマットをBNUHC-18で濡らし、そこを踏んでもらうことである。足元の除菌がとても効く。そして洗濯が滞っているなら、衣類にも使うことを勧めてもらいたい。この二つとも、アルコールでは対応できないことだ。

また、「使い終わったバロンボックスは水の保管や備蓄に使える」と一言、伝えていただきたい。どうぞよろしくお願いします。

注記

*1 日本の水資源が豊富なのはもちろん、降雨量が多いからである。とくに梅雨の存在が大きい。その要因はヒマラヤ山脈だ。高くそびえる山々に偏西風は南北に分かれて蛇行する。北まわりの風が、南の海の湿った空気を含んで日本列島にやってきた南まわりの風とぶつかり、雨を降らせている。

*2 この研究によれば、感染者が出すエアロゾルは何メートルも空気中を移動して感染を広げる(だからウイルス吐出を口元で防ぐマスクは有効)。そして空気中のCO2濃度が高いと、新型コロナウイルスが感染性を保つ時間も長くなる。逆に清浄な空気は、太陽光よりも4倍も早くウイルスを死活させる。
cf.
Differences in airborne stability of SARS-CoV-2 variants of concern is impacted by alkalinity of surrogates of respiratory aerosol
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsif.2023.0062

*3 GSEの除菌効果についての研究。電子顕微鏡で観察もしている。
The effectiveness of processed grapefruit-seed extract as an antibacterial agent: II. Mechanism of action and in vitro toxicity
https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/10755530260128023

*4 「GSE」でネット検索すると、大きく「GSE」と書かれた商品が真っ先に出てくる。世界で売れているGSEで、いわばこれはコンデンスタイプ。水に数滴たらして稀釈し、飲んだりスプレーしたりする使い方のもの。成分表示をみると67%がグリセリンだ。こうしておかないとGSEが分離するからである。

*5 水道水に塩素を入れたのは疫学的には大発明といってよく、日本で最初にそれを実行したのは、当時東京市長だった後藤新平(1857-1929)である。後藤は細菌学者として有名なロベルト・コッホ(1843-1910)に学んだ医師でもあった。塩素は時間経過で抜けていくからこそ水道と相性がいい(密閉しても太陽光で分解されることもある)のだが、加熱すると加速度的に抜けるので注意が必要だ。麦茶で実験をすると、水だしのほうが長くもつ。煮出すと塩素が抜けてしまい、菌が繁殖しやすくなるためである。