「組体操」問題に欠けている視点

組体操の「7段ピラミッド」の件である。
まだこんなのにこだわる人がいるというのが、信じられない。多段の組体操が崩れると、上肢切断や半身不随などの事故、ひどいときは死亡事故が待っている。切り傷や擦り傷ではない。子供の将来に大きな影響を及ぼす重大事故となったり、最悪の場合は生命を奪われている。
将来を賭けて、命をかけてまで、組体操をしなくてはならないものなのか。

事故の実績

都道府県別組体操事故統計(2018年度版)」 によると、2017年度の小中学校の組体操による負傷人数は4,418件。このうち骨折件数は1,088件。年に1,000人以上の子どもたちを骨折させている。
過去46年間に9名が死亡。障碍が残った子どもは92名。私はこの数字、きわめて多いと感じる。それでも強行しようとする学校の教師や保護者の思考回路を想像できない。あわせてこの資料を参照されたい。ぞっとする数字が並んでいる。
組体操による事故の概要

本当の原因は「いじめ」では?

意図的に無視しているのか、本当に気がついていないのかわからないが、私は組体操の重大事故の原因の多くは、いじめではないかと考えている。しかし、このことに言及しているものがないのが不満だ。

いじめっ子は、虎視眈々と「合法的にいじめることができる機会」をうかがっている。柔道なら受け身をとれないタイミングで投げて、激しく叩きつける。サッカーなら、骨折するような悪質なタックルをやる。相手が半身不随になろうが、骨折しようが、自分が罪に問われることはない。おいしいチャンスだ。

組体操で上にいじめられっ子が乗っていたら、バランスを崩すように動くだろう。そんなことで落ちる子がどんくさいのである。下にいじめられっ子がいたら、みんなで示し合わせてその子に体重をかけてつぶす。つぶれてしまう、体力のない子が悪いのだ(だからいじめられるのだ)。単純に崩れただけで、上肢切断のような重大なケガを負うだろうか。

いじめ問題のひとつとして、組体操の事故をみなおすことを提唱しておきたい。

参考記事
7段ピラミッド予定の小学校「集団作りの効果はある」 東大阪市で今年も2校…1校は中止