駐車違反取締に異論

私は駐車違反の取り締まりが嫌いである(好きな人はいないと思うが)。駐車監視員制度になってから、ますます悪くなっているように思う。理由は、日本人はまじめで、監視員を拝命すると躍起になって取り締まってしまうからだ。

いちばん呆れたのが、白線で囲まれたパーキングチケットの枠にクルマをとめ、パーキングチケットを買いにクルマを離れたときのことだ。チケットを購入して戻ってくると、もう駐車監視員が写真を撮り、切符をきるところだった。ちょっと待て、それならどうやってこの駐車枠を利用すればいいのというか。チケットを購入する間(ものの1分)も駐車違反だ、というなら、利用する方法論がないことになる(と反論する前に、監視員は逃げた)。

ポリシーをはっきりさせるべき

最大の問題は、「駐車違反を取り締まる」という行為にポリシーがないことだ。たしかにパーキング枠にチケットのないクルマが停まっているのだから、「イハンだ!」と言いたくなるのだろうけれど、そこに数10分間、クルマが停まっていたところで、誰にも迷惑をかけていないだろう。停めても迷惑にならないところだから、パーキングエリアになっているわけである。「金を払え」(チケットを買え)と言われるのはわかるが、駐車違反を問われるのは納得できない。

迷惑をかけている違法駐車を取り締まる」と、明確なポリシーを掲げ、徹底してくれないだろうか。そのほうが、監視員さんたちのやる気も出るに違いないと思うのである。たとえば、こんな駐車だ。

どちらの例も、目撃したら即座に駐車違反チケットを貼っていい。交差点や横断歩道の直前は、駐停車違反区域である道路交通法第44条)。こんなひどい違反でも、写真を撮って、端末を操作しているうちにドライバーが戻り、チケットを切るのをやめている。ポリシーを明確にして、即座に、そして厳格に措置すべし。迷惑な駐車を取り締まることによって、交通事故も交通渋滞も減らせるのだ。監視員のモラールも向上するはずである。

トータルマナーの向上

迷惑な違反は即座に切符を切る」「迷惑でない違法駐車は長時間でないかぎり見逃す」という二つのルールで運用してくれたら、トータルの運転マナーは著しく向上するに違いない。停める際に周囲に気を配り、迷惑をかけない場所を選べるのが、いいドライバーだ。

マナーといえば、救急車に対するマナーがずっと気になっている。私が経験したのはこれ。前方から救急車がきているんだから、考えろよ。片側1車線の、駐車車両があるとスレ違えない道への駐車は、即刻切符を切れよ、という話。

そういえば、赤信号待ちの際、後ろから救急車がやってきても、日本は全員が諦めている。アメリカで経験したのは、こんなマナーだった。イエローキャブに乗っていたのだが、本当にびっくり。そして、「かっこいい」(Cool)という感じ。

赤信号側のクルマが一斉にパッシングとクラクションで注意喚起しながら、ズリ、ズリと前に進んで、青信号側のクルマをせきとめて、救急車を通す。ナイト(騎士)だぜ。日本人って、あっという間に銀行ATMにフォーク並びを流行らせるチカラをもっている。自動車学校・免許更新の講習などもあわせて、啓蒙していけば、こういうこともできるようになるんじゃないか。