重要なのは感染後という大事な話

新型コロナ=交通事故禍論」「新型コロナにおける七転八倒問題」の続きである。まず、これまで説明してきたことをまとめておく。

  • 新型コロナウイルスは当初、重症肺炎を起こすウイルスだと思われていたが、それだけでなく、脳・心臓・血管・肺など全身にダメージを与えるウイルスだった*1
  • 感染によって、身体は10‐30年分くらい老化する(生物学的な老化と同様の損傷がある)。老化によって、若い人でもがんや糖尿病など高齢者に多い病気を発症することがあるし、突然死リスクもあがっている
  • 老化の影響や新型コロナウイルスの持続感染や身体に残る炎症などから、急性期が過ぎても、重い倦怠感などの症状が続く人が多い。これをLong COVIDという
  • 老化やLong COVIDは若い人にも大きな影響があるから、「高齢者だけが死ぬ病気」という認識は誤りである。健康を失い、退職せざるを得なくなる人も増えている。感染先進国の統計では、退学・退職となるのは、現時点で感染者の7.5%という衝撃の数字が出ている
  • 新型コロナは何度も感染する病気なので、感染のたびにLong COVIDとなるリスクを抱える。人によって被害の程度が異なる大きな要因は、体内でのウイルス増殖量だと考えられる。その影響を最小限にし、老化を食い止めるには、ワクチンを更新し、危ない場面ではマスクをすることしか有効な方法論はない

これだけでも、「ワクチンをブーストし、人ごみではマスクをするほうがいい」と結論できるだろう。しかし、さらに(閉鎖空間では)マスクをすべき理由が二つある。第一は抗N抗体の呪い、第二は新型コロナ感染による免疫不全の影響だ。今回はそれを説明する。

スペイン風邪の被害は若者も多かったという謎

歴史的事実の紹介から始める。新型コロナパンデミックでよく引き合いにだされるのがスペイン風邪のパンデミックだ。原因はH1N1亜型インフルエンザウイルスだった。1918年から3年にわたって世界的に流行し、5,000万人‐1億人が死亡したと推定されている(ちょうど第一次世界大戦と重なっていることもあり、戦争による影響などを排除して正確に見積もったら、死者数は2,500万人を越えないと結論した研究もある*2)。

あまり指摘する人がいないが、スペイン風邪で気になるのは、最も元気溌剌としており、健康という意味では人生の絶頂期にあたる30歳前後の死者数が多いことである。「戦争と重なったからだ」という人もいるが、その影響を排除して調整した超過死亡率のグラフがこれだ(注記2の論文より。幼少期の超過死亡が突出しているが、これは1918年という時代背景が大きいだろう。乳幼児の死亡率が極めて高かった時代である)。

https://doi.org/10.1093/aje/kwy191

この謎を解明しているのが、この研究である。致死率の高い30歳前後は、幼少期にロシア風邪に感染した世代である。そこで得た抗体が、スペイン風邪罹患時に疾患の抗体依存性増強(ADE: Antibody Dependent Enhancement)を引き起こしていたのではないかという内容だ。過去の感染体験によって体内にできた抗体が、感染時の重症化因子となる例である。
■Age-dependence of the 1918 pandemic
https://doi.org/10.1017/S1357321719000023

日本では一部の経済学者が、「新型コロナは高齢者だけが死ぬ病気だ。感染してもリスクのない若者に我慢をさせるのは間違っている」と主張しているせいか、緊急事態宣言にしてもマスクなどの感染対策にしても、いつ死んでもいいはずの高齢者を守るために若者がただただ犠牲になっているだけだという不満をもっている人が多い。

この認識が間違っていることを、スペイン風邪では若者の死者が多かった事実が証明している。それと同時に、高齢者の致死率の高さにも疑念がわく。「高齢者は基礎疾患をもつ人も多いし、体力もないから致死率が高い」と思いこんでいるが、じつは高齢者ほど、風邪コロナウイルスに曝露した機会が多く、そのために新型コロナに対して抗体依存性増強を起こしやすいのかもしれない。重症肺炎患者はサイトカインストーム(免疫暴走)を起こしていることが多いという事実が、この説を補強する。

再感染時に最大の危機がやってくる

若くて元気でも、抗体依存性増強(ADE)が起きると命を奪われることをスペイン風邪が示し、高齢者の新型コロナ死が多いのは、過去の風邪コロナウイルス感染による抗体の呪いによるものかもしれない。

この二つから類推できるのは、このまま感染を繰り返していくと、若くても抗体依存性増強で命を奪われ始めるのではないか、ということだ。その可能性を、実験で確認した研究がある。中山英美・大阪大学微生物病研究所准教授らの成果だ。
■Anti-nucleocapsid antibodies enhance the production of IL-6 induced by SARS-CoV-2 N protein
https://doi.org/10.1038/s41598-022-12252-y

新型コロナ感染肺胞の疾患を実験環境で再現し、新型コロナウイルスのNタンパク質が炎症性サイトカイン産生の引き金をひき、抗N抗体がそれを増強し、抗体依存性免疫暴走(ADE of cytokine production)が起きることを確認している。

感染先進国の状況をみると、この研究の通りになっていると言っていい。XEC株で入院患者が増え、致死率もあがっているという情報に対して、「変異体の個性ではないかもしれない」と指摘したのは、これが理由だ。すでに抗体依存性免疫暴走が起きていると考えるべきだと思う。

すなわち、若い世代にとって初回感染のリスクはLong COVIDを発症することであり、再感染時のリスクはサイトカインストームが起きることである。「新型コロナなんてただの風邪。高齢者が死ぬだけでしょ」と甘くみてはいけない。

抗体依存性免疫暴走を防ぐ方法

この研究が明らかにしているのは、感染で体内に産生される抗N抗体が次回感染時に重症化因子となることであり*3、若い世代もサイトカインストームを起こして亡くなることもある、ということだ。

とてもイヤな話であるが、しかし、これは防ぐことができる。再感染時に、ヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)が体内で大量に産生されることを回避すればいいのである。その量に応じて抗N抗体が投入されるから、Nタンパク質が多ければ多いほど、抗体依存性免疫暴走が起きるリスクが大きくなるし、抑えれば抑えるほど、そのリスクは小さくなる

早い話が、ウイルスが体内で増殖する量を抑えろ、ということだ。その方法論については、前回記事でも説明した。危ない場所ではマスクをして初期感染細胞数を減らすこと、そしてワクチンをブーストして、新型コロナウイルスの増殖を迅速に阻止できる免疫状態を保つことである。ワクチンで抗S抗体を抗N抗体より多い状態を維持することが重要で、これを論文筆者の中山准教授は「S/N比を高く保て」と表現している。

ワクチン反対派を私が支持しないのは、「ワクチンが超過死亡の原因だ」*4などというデマをもって反対するからだが、加えて、抗体依存性免疫暴走のリスクをまったく考慮していないからである。ワクチン接種の効果が日数経過とともに減衰することを考えれば、最低でも年に一度はブースターを接種して、S/N比を高く保つことが重要だ。

すでに機序は明らかになっている。再感染時に体内でウイルスを大増殖させると、健康被害が大きくなるのだ。これがわかっているのに、ワクチンもマスクも捨て、サイトカインストームで命を落としたり、酸素ボンベ生活になるほど肺にダメージを残したりするのは、「みすみす」である。

そして新型コロナウイルスは「露払い」でもある

世の中がすっかり「感染対策なんかもういらない」「マスクなんか時代遅れ」という雰囲気になってしまっているのは、「もうインフルエンザなみに弱毒化したから5類にした」という誤解がひろまったことに加え、感染経験者が増えたからというのがあるだろう。

「もう感染してしまったし、いいや」
という感覚はわからないではない。これは人間心理だ。濡れるまでは濡れないように頑張れるが、ある程度濡れてしまったら、もうずぶ濡れになることを厭わなくなる。中には一度感染すると、もう二度と感染しないと思いこんでいる人もいる(これは明白に誤りなので、認識を改めてもらいたい。ノーガードで過ごすと、年に2回ずつは感染する病気である)。

しかし、ここまで説明してきたように、ノーガードだと再感染時にサイトカインストームをおこすリスクが高くなる。最低限、マスクでウイルス曝露量を減らすことがとても大事だ。

加えて、見逃せないのが、新型コロナウイルスがヒトの免疫に大きなダメージを与えることである。当然、新型コロナ感染後は、他の感染症にかかりやすくなる。目立つのが、溶連菌感染症/RSウイルス感染症/アデノウイルス感染症/インフルエンザ/百日咳/マイコプラズマ肺炎あたりだ*5。新型コロナウイルスは露払いである。

テレビに出てくる小児科医らは、「マスクなどの感染対策で、抵抗力が身についていないせいだ」(免疫負債説)と解説をしているが、まったくの誤りである。というのも、学校生徒がマスクをしていなかった国(スウェーデンやイギリス)でも、感染症の爆発が起きているからだ*6。スウェーデンと日本(東京都)の、マイコプラズマ肺炎のグラフを出しておく。どちらもかつてない急増だ。

溶連菌感染やマイコプラズマ肺炎、百日咳が典型例だが、世界的に菌感染症が流行すると、抗菌薬(抗生物質)の需要が激増する。当然、薬不足が世界規模で起きることになる。これもリスクだ。新型コロナ対策だけでなく、マイコプラズマ肺炎や百日咳を予防するためにも、人ごみではマスクをしたほうがいい。現時点で、すでにマイコプラズマ肺炎の検査薬も抗菌薬も、咳止め薬も不足気味だ。薬がなければ、これらの病気も怖い病気となってしまう。

ともかく流行時は感染対策を強めにして、感染を避けることである。この研究によれば、オミクロン変異体で感染者が急増した2022年初頭以来、44か国で、13の感染症のうち少なくとも1つの発症率が、パンデミック前の基準値と比較して10倍に増加している。連休中の高速道路と話は同じだ。各国で10倍に増えていれば、渋滞(薬不足)は確実に起きる。
■Analysis reveals global post-covid surge in infectious diseases
https://doi.org/10.1136/bmj.q1348

子どもたちを守ってほしい

いまや大人の重症化も死亡も自己責任である。それが新型コロナウイルス感染症を5類にした意味だ。自分の身は自分で守りなさい。治療薬もワクチンも有料にするよ、と国から突き放されたのが2023年5月8日だった。

当然、個人単位・家庭単位・地域単位・組織単位で自衛をするべきだったのに、なぜか「国がなにもしないなら、私たちもなにもしない(できない)」と言い出す人が多く、会社で「換気をしよう」と主張することさえ憚られる状況となっている(正直、理解不能だ)。社員の7.5%が出社不能となってしまう前に、それこそ目覚めていただきたい。「日頃はノーマスクでいいが、空気清浄機を置きましょう。それでも会議ではマスクをしよう」が常識となるべきである。でなければ、ほぼ確実に、会社の中核を担う人材が不足する事態となるだろう。

もっと気になるのは学校と園だ。テレビでは小児科医が「子どもにはただの風邪です」と言い、レトロウイルスの研究者がテレビに出て、「子どもは感染しても無症状か軽症だ。ワクチンをうつより感染したほうがいい」と主張していた。果たして、これは本当なのか。

普通に考えて、大人に対してこれほどのダメージを与える新型コロナウイルスが、子どもには無害ということがあり得るとは思わない。そして実際、子どももLong COVIDを発症しているし、脳症をおこす子はインフルエンザより多く*7、入院する子が皆無というわけではない。以下の研究によると

  • 1,107,799人の小児のうち、423人が調査中に新型コロナで入院
  • 入院率は変異体が出るたびに増加し、6か月未満児の10万人月当たりの入院率は、プレデルタ期7、デルタ期13.3、オミクロン期22.4
  • 入院した小児の20.3%が集中治療室(ICU)に入院
  • 12‐18歳のICU入院は36.1%
  • ICU入院者の91.8%は合併症を有していなかった(基礎疾患がなかった)

であり、子ども、とくにワクチン未接種の子どもが大きなリスクにさらされていることが明白である。
■Incidence and Risk of Coronavirus Disease 2019 Hospitalization Among Unvaccinated Children
https://doi.org/10.1111/irv.70022

私は、ワクチンの接種率が低いまま、学校の脱マスクを進めた政治家の判断は間違っていたと考えている(教室の空気を清浄に保てるだけの空気清浄機を完備してからの脱マスクなら、まだ納得できる)。ワクチン接種率が低いまま、教室の空気が悪いまま、すなわち無策のまま、マスクだけをとってしまった。子どもに自己責任を負わせることはできない。大人が守るべきである。

それがいかに子どもたちにとって有害だったかは、その後の学級閉鎖の状況をみるだけでもわかるだろう。新型コロナだけではない。マイコプラズマ肺炎でも学級閉鎖が起きている。そして当然、余波は家族にくる。一家全員の咳が止まらず、ろくに睡眠もとれず、そして薬もないというのがいまの状況だ。「責任」の2文字を認識できるなら、いまからでも当該政治家は適切な対処をするべきだと考える。

学校は「感染後は養生」を肝にめいじてもらいたい

もう一つつけ加えておきたいことがある。新型コロナウイルス感染症は、インフルエンザや風邪に似ていることから、療養明けの子どもは「もう元通りの健康な身体」という意識で接しているようだ。その意識はいますぐ捨ててもらいたい。

急性期の終わりは、感染の終わりではない。単に免疫反応がおさまっただけである。体内は水害がおさまった直後のように荒れており、炎症も続いている。風邪なら上気道炎だから、脳も心臓も血管も肺もたいして影響を受けていないが、新型コロナウイルス感染症は違う。全身にダメージがある。

この状態の子どもを、すぐに走らせたりするのは虐待だ。回復途上で無理をするとLong COVIDを発症しやすくなる。感染からの復帰後、一か月は体育や部活を見学にするくらいの対応をしてもらいたい。病気のあとは養生をするものである。

もしも学校側の対応が悪い場合は、もう親が気にして子どもを守るしかない。注意したいのは、胸痛、息切れ、動悸、異常な疲労感などの症状がないかどうかである。この記事では、その場合は「すぐに小児科医の診察を受ける必要がある」と書かれている。大変参考になる記事だ。
■Returning to Sports After COVID-19: What Parents Should Know
https://www.chla.org/blog/advice-experts/returning-sports-after-covid-19-what-parents-should-know

この記事にも明記されているこの助言が重い。
「競技が行われる場所には、自動体外式除細動器(AED)を設置すべきです。そこにあって、コーチやスタッフが使い方を知っていれば、間違いなく命を救うことができる」

最も懸念されるのは脳の損傷

気になる研究もある。健康の話ではない。脳の話だ。新型コロナ検査陽性と判明してから半年以内の84人の子ども(6‐16歳)を追跡調査した以下の研究では、対照群と比較して、不注意、多動性・衝動性、反抗、広範囲にわたる感情的・行動上の問題、学校機能の低下、学校での態度、社会的交流、学校での行動上の問題、両親との交流上の問題を引き起こすことが多いことが観察されている。
■Increased post-COVID-19 behavioral, emotional, and social problems in Taiwanese children
https://doi.org/10.1016/j.jfma.2024.10.018

最近、続々と発表されている研究は、新型コロナウイルスが脳に損傷を与えることを示している。これは大人にも影響があり、味覚・嗅覚の喪失から短期記憶の喪失にいたるまで、中枢神経系に異常が出ていることが多い。

はっきりと確認した研究もある。34名の若く健康な未感染者に新型コロナウイルス(起源株)を接種して意図的に感染させ、経過を観察した研究だ。参加者は、隔離期間中および30日、90日、180日、270日、360日の経過観察期間中、毎日の生理学的測定とコンピュータによる認知課題に取り組んだ。

その結果、感染者は認知能力が落ちており、とくに記憶課題と遂行機能課題で対照群との差が大きく、少なくともそれが1年間は持続することが確認されたのである。
■Changes in memory and cognition during the SARS-CoV-2 human challenge study
https://doi.org/10.1016/j.eclinm.2024.102842

私は、子どもたちの脳を守ってほしいと思っている。これまで発表されている研究を総合すると、子どもの脳も新型コロナウイルスの影響を受けることは確実だ。そのためには、体内で増殖するウイルス量を減らすこと、何度も感染するのを避けることが必要だろう。ウイルスが大量に増殖すると、炎症性血栓も多くなり、ウイルスの侵入を防ぐ血液脳関門(BBB)も機能不全を起こすと考えられるからだ。

マスクには別の期待もある。鼻にウイルスを侵入させるのを避けたほうがいいと考えられるからだ。鼻は脳に近く、新型コロナウイルスの脳への侵入ルートとして、鼻から脳へのルートも可能性として示されている*8。マスクで鼻に吸いこむウイルスを減らすのは、脳を守るのに有効だと考えられる。

経営者は覚悟して健診を充実させて欲しい

認知機能障害は、ミスを増やす。よく報告されているのが、短期記憶の喪失だが、本当にそれだけで日常生活や仕事に支障が出る。お湯をわかしていることを忘れてほかのことをするとか、2時間の映画やドラマでストーリーを追えなくなるといったことが起きる。

ノルウェーからのLong COVIDの報告がわかりやすい。Long COVID患者は記憶力と集中力の問題、自己評価による全般的な健康状態の悪化、嗅覚障害と味覚障害、呼吸困難、疲労に見舞われている。
■Temporal trajectories of long-COVID symptoms in adults with 22 months follow-up in a prospective cohort study in Norway
https://doi.org/10.1016/j.ijid.2024.107263

感染後の社員は、きっと黙っているが、こうした症状に悩まされていることが多いはずだ。それを無視していると、思わぬミス(大事な契約書をシュレッダーにかけたミスがあったそうだ)や思いもよらないことが原因の事故に見舞われる可能性が高い。認知機能障害は本人がそのことに気づいていないことも多いので、産業医とよく相談し、対策をとったほうがよい。

Long COVIDを前提にすれば、定期的な健康診断はますます重要になる。新型コロナウイルスは、血栓症から肺炎やダイアベティスまで、無自覚なうちに病気を進行させる厄介なウイルスである。健康診断項目の見直しも必要だろう。

最後に、これはPRである。いまや私たちは新型コロナウイルスにダメージを与えられているため、あらゆる感染症(ウイルス感染症/菌感染症/真菌感染症)に弱い集団となってしまっている。この状態に対抗するには、生活空間・仕事空間のウイルス/菌/真菌を減らすことが有効だろう。しかし現状、それに有効な薬剤はGSE(Grapefruit Seed Extract)しかない。アルコールで全面消毒をすると爆発・炎上の危険があるし、塩素系の薬剤は有機物に反応して効き目がなくなる。

この幼稚園はGSEを活用して、新型コロナはもちろん、手足口病も含めた感染症の発生をいまも防いでいる。手指衛生に加え、トイレと床、おもちゃの除菌が効いていると思われる(もちろん、換気も重要な要素だ)。ヒトに安全な植物由来の除菌剤があることは知ってもらいたいと思う。
■「いまだ園内クラスターなし」――ある幼稚園の使用例
https://bnuhc.info/archives/2024/casestudy20240129/

私は、生活空間から菌/真菌を減らすことが、おそらく新型コロナの重篤化を防ぐにも重要だと考えている。重篤な患者は菌感染症・真菌感染症を併発していることも多いからだ*9

アメリカ人のGSE活用法

GSE活用はアメリカから始まった。1990年代からの普及である。参考までに、アメリカ人のGSE活用法を紹介しておく
■7 Grapefruit Seed Extract Uses, and the Risks to Know Before Using It
https://universityhealthnews.com/daily/nutrition/grapefruit-seed-extract-uses-and-benefits/

  • のどうがい薬(風邪やのどの痛みに)
  • マウスウォッシュ(歯ぐきと歯の健康に)
  • 鼻/副鼻腔洗浄液(副鼻腔炎や風邪に)
  • 点耳薬
  • 消化器障害(カンジダや旅行者下痢を含む)
  • 皮膚の傷
  • フルーツと野菜の洗浄

こちらのサイトには、さらに詳しく活用法が出ている。

■15 Benefits of Grapefruit Seed Extract
https://www.doctorshealthpress.com/15-benefits-of-grapefruit-seed-extract/

注記

*1
この研究で、とてもイヤなことが明らかになっている。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は赤血球上の糖と結合するため、赤血球を凝集させ、細い血管を塞ぐ。これが酸素濃度の低下(低酸素症)や血栓を引き起こす。その上、赤血球が新型コロナウイルスの運び屋となり、全身に新型コロナウイルスを送り届ける(その先にACE2受容体があれば感染する)。
■The Ways of the Virus: Interactions of Platelets and Red Blood Cells with SARS-CoV-2, and Their Potential Pathophysiological Significance in COVID-19
https://doi.org/10.3390/ijms242417291

*2
Reassessing the Global Mortality Burden of the 1918 Influenza Pandemic
https://doi.org/10.1093/aje/kwy191

*3
このことは、中国などが接種していた不活化全粒子ワクチンの成績が悪かったことも説明する。対して、mRNA新型コロナワクチンはSタンパク質に標的を絞っており、接種することで産生されるのは抗S抗体のみである。抗N抗体は産生されないので、ADE of cytokine productionの心配もない。mRNA新型コロナワクチンの設計は非常に優れていたと評価できるだろう。

*4
すべての死因においてワクチン接種者のほうが少ないという統計が出ているのに、いきなり超過死亡がワクチンのせいになるのは論理的ではない。そして事実、178か国を対象にした研究で、ワクチン接種率の低い国のほうが、超過死亡が多いことがわかっている。超過死亡の原因は新型コロナ感染増であって、ワクチンではない。
■Assessing the Influence of COVID-19 Vaccination Coverage on Excess Mortality across 178 Countries: A Cross-Sectional Study
https://doi.org/10.3390/vaccines11081294

日本の研究でも、同じ傾向だ。もしもワクチンが超過死亡の原因なら、接種率と超過死亡が負の相関をするはずがない。
■The mRNA Vaccination Rate Is Negatively and the Proportion of Elderly Individuals Is Positively Associated With the Excess Mortality Rate After 2020 in Japan
https://doi.org/10.7759/cureus.52490

「過去最大の薬害だ」と騒ぐ人も多いが、高齢者を含めた全年齢層に一斉に接種したワクチンは新型コロナワクチンが史上初である。その中には「たまたま心臓発作の前日にうった」という人もまじってくるから、副反応疑い報告の件数が過去最大となるのは当然だ。
他のワクチンはアル中もいなければ、動脈硬化が進んでいる人もいない乳幼児期に接種する。したがって、新型コロナワクチンが他のワクチンに比べて副反応の多く危険だと指摘するなら、「5‐11歳の副反応」に限定して比較するなどの工夫がいる。数字の単純比較は間違っている。

*5
このほか、ノロウイルスや黄色ブドウ球菌による食中毒事件が目立つのも、生得免疫がダメージをうけているせいである可能性がある。2019年までは平気だった菌数・ウイルス数でも発症するのかもしれない。今後、飲食店は衛生管理基準を厳しくしないと、営業停止リスクが高くなるかもしれない。

*6
ロックダウンなどの厳しい対策をとったのは2020年で、感染先進国で複数の感染症が急増し始めたのは2022年。そして、感染症急増は2023年も2024年も起きているという事実も反証になる。2022‐2023年に様々な感染症が激増しているから、マスクのせいだったとしたら、2024年には「例年通り」におさまっているはずである。

*7
子どものLong COVIDについては、この記事が参考になる。
Long COVID Is Harming Too Many Kids
https://www.scientificamerican.com/article/long-covid-is-harming-too-many-kids/

新型コロナで起きる子どもの脳症については、日本の子どもたちを対象にした詳細な研究がある。「感染しても軽症か無症状だ」という親を安心させるだけの無責任な一言は、本当に残酷な一言でもある。
「新型コロナウイルス感染症に関わる小児急性脳症患児103例の臨床像を解明しました」(東京女子医大。2024年1月30日)
https://www.twmu.ac.jp/univ/news/detail.php?kbn=1&ym=202401&cd=1298

*8
SARS-CoV-2: is there neuroinvasion?
https://doi.org/10.1186/s12987-021-00267-y

*9
たとえば富山大学は新型コロナと人食いバクテリアの同時感染で、重症化している事例を報告している。
■COVID-19 complicated with severe M1UK-lineage Streptococcus pyogenes infection in elderly patients: A report of two cases
https://doi.org/10.1016/j.ijid.2024.107246