GSE活用法:飲食店での活用

私のGSE活用法04:ペット編」の続きで、例によってPR記事である。今回から、私の活用法ではなく、私のお勧め活用法を紹介する(注記番号もリセットする)。

ずっと気になっているのが、飲食店の感染対策だ。なんだかもう世間ではすっかり新型コロナは終わったことになっているせいか、随分とゆるんでいるお店が目立つ。けっしてそんなことはない。むしろ2022‐2023年よりも、飲食店をとりまく環境は悪くなっている。

お店を回せなくなるリスク

リスクは二つある。第一は、料理人を含めた従業員の手が足りなくなるリスクだ。新型コロナは終わっていない。いまでも年間4万人(超過死亡を考慮すると10万人前後)が新型コロナ感染を原因として死亡しているし、Long COVIDに悩む人も増え続けている。
Long COVIDで多い症状が味覚障害と嗅覚障害だが、料理人にとっては治癒するまで仕事ができなくなる怖い症状である。そしてLong COVID患者は倦怠感に悩む人が多く、立ち仕事がきつくなる。中には、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)を発症し、そもそも仕事に行けなくなる人も出ている*1。従業員を感染させない対策をとらないと、人手が足りなくなる恐れがある。

「えっ、何人も感染しているけれど、そんな従業員はいないよ」
と反論したくなるだろうが、これはただ単に、日本はワクチン接種後に感染している人が多かったので、Long COVIDを発症する率が低かっただけだ。
2021年の接種から3年が経過しているので、ワクチンの効果は減衰しており、もう恩恵はなくなっている(1年以内にブースター接種をしている人は除く)。ここで対策をしないと、日本より先に感染がひろまった国で起きている労働力不足を、これから日本も経験することになるだろう。

マスクで回避できる営業停止

リスクの第二は、食中毒事件を起こして営業停止処分を受けるリスクである。「それが感染対策となんの関係があるのか?」といぶかしむだろうが、じつはおおいにある。グラフを出しておこう。原因別の食中毒の発生件数だ。ノロウイルスに注目してもらいたい。
2015年をピークに順調に件数が減り、2020年‐2022年はぐっと減少傾向だったのに、2023年から再び増え始めている。

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001213031.pdf

これは2023年までのデータだが、2024年も同じ傾向にあると予想される。今年もノロウイルスクラスターはとても目立つからだ。日本だけではない。世界で発生しており、2024年4月のドイツのフェスティバルでは、800人もの規模のノロウイルスクラスターが起きている*2。もうわかるだろう。「5類になった。もうマスクも不要」とノーガードにしたら、ノロウイルス感染が流行を開始したという構図だ。

ノロウイルスは「嘔吐物や排泄物の処理が大事」と習ってきただろうが、この知識はもう古い。最新の研究で、唾液腺にも感染し、継続的に唾液にノロウイルスがまじることが確認されており*3、症状のないウイルスキャリアからの呼気や飛沫などからも感染することが判明しているからだ。
つまり、ノロウイルスは新型コロナ同様に、IRPs感染(空気感染*4)も飛沫感染もする。この事実は、マスクをしなくなった2023年以降に、ノロウイルスクラスターが増えていることと一致する。

つまり、「もう5類だ」とマスクをとると、食中毒事件をおこすリスクが高くなる。たとえ新型コロナ禍が完全に終わったとしても、マスクは続けたほうがいい。厨房もホールもだ。ノーマスクでサラダを調製したり、テーブルに料理を運んで、その説明をして飛沫をふりかけたりしていると、思わぬトラブルに巻き込まれることになる。

GSEで衛生管理のレベルをあげる

そしてもうひとつ、とても気にしておかなければならないことがある。新型コロナ感染は免疫にダメージを与えるため、複数の感染症が流行していることは周知の通りである。下のグラフは東京都の溶連菌感染症のグラフだ。昨年も今年も、かつてない増加ぶりである。

ということは、食事にきてくださる顧客の抵抗力が弱まっている可能性が高いと考えておかないといけない。「これまでは平気だった程度の菌数」でも食中毒を発症するかもしれない、ということである。
これを裏付けるのが、生肉の取り扱い基準に定められている表示義務である。生肉の衛生基準を満たしたとしても、
「子供、高齢者、食中毒に対する抵抗力の弱い方は、食肉の生食をお控えください」
と表示する義務が提供者に課せられている。新型コロナで免疫にダメージを受けた人が増えているということは、食中毒リスクが客の側の理由で高くなっているということだ。

事実、アメリカでは過去2年間で、食中毒による健康被害が44%増加したと報告されている。ナショナルジオグラフィックの記事によると、増えているのはリステリア・ノロウイルス・サルモネラとカンピロバクター・大腸菌による食中毒*5。同記事はその原因として温暖化を挙げているが、それだけでなく、アメリカ人の大多数が新型コロナに感染したことも関係しているだろう。大腸菌に関しては、2024年10月にマクドナルドでも集団食中毒が起きている*6
そうであれば、飲食店側としては、提供する料理の衛生基準をレベルアップするほかない。それに役立つのがGSE(Grapefruit Seed Extract)である。多くの加工食品に、保存料として使われている植物エッセンスだ。とくに厨房での利用を勧める。

厨房でGSEを使う利点は、既存添加物(食品添加物)として認められた成分なので、食器や調理器具に使っても、多少、料理に残存しても問題にならないところだ。そして匂いで料理をダメにしたりしないから、GSEは調理中に頻繁に使うことができる。この点が大きい。野菜をGSEで洗浄して、洗い流してから使うとか、鶏肉を切った直後の包丁やまな板に使うなどだ。
食中毒対策として、営業終了後に次亜塩素酸ナトリウム溶液に布巾や調理器具を浸しているところが多いが、この方法は調理中に使えない。とくに包丁等を布巾で拭き取りながら生ものを切ったりする場面では、布巾の側にGSEを使ってもらいたい。万一、布巾が何らかの病原体で汚染された場合、調理によって汚染を拡大することになる。

もちろん手指衛生にも使ってもらいたい。調理中に頻繁に使っても手が荒れないし、アルコールと異なり、料理を匂いでダメにしない。そして火をよく使う調理場で頻繁に使っても安全だ。アルコールを手に使ったあと、ガスに火をつけて手に引火した事例もある。

GSEを清掃に使う

さらにお勧めは、GSEを床に使うことである。飲食店でマスクをしたままの人はいない。当然、ウイルスや菌・真菌を含んだ飛沫が大量に床に落ちることになる(テーブルにも落ちているが、それは毎回、清掃しているだろう)。

GSEの大きな特徴として、効果に持続性があることが挙げられる。有効成分が油分であり、揮発しないからだ。閉店後にGSEでモップ清掃するのがベストである。もちろん、清掃を担当する従業員にはくれぐれもマスクをして清掃にあたるように指導しておくこと。掃除はホコリを舞いあげるので、感染リスクのある行為である(詳しくは「私のGSE活用法02:床のケア」参照)。

規模の大きい店なら、MISTECTの利用を勧めたい。この装置を開発した発端はJAXAが特許をもつ高性能ノズルとの出会いだった。低い気圧で噴霧しても、非常に細かな霧となるので、瞬時にGSE水溶液が気化し、GSE成分のみがブラウン運動をして隅々に行きわたり、そして露出表面に定着する。
閉店時にタイマーセット(たいてい、3‐5分間程度の稼働でよい)しておくだけで、翌日の店内は、床はもちろん、テーブルの裏の隅々までGSEコーティングされており、落ちてくる菌類を抑制し続ける(実験で確認している*7)。飲食店にとっては、厨房でも気にせず使えることが大きい。GSEが既存添加物だからである。食器類や調理器具をそのままにMISTECTを使って問題ない。

MISTECTは2020年に開発・販売し、保育園や婦人科クリニック、介護施設などで効果を実感していただいているシステムだ。装置はいささか効果だが、ランニングコストは安い。いまやノーマスクが当たり前となったオフィスにも勧める。
深夜にタイマー稼働させるだけで、オフィス空間の菌・真菌・ウイルスなどを減らすことができる。床からデスクの裏やドアノブまでGSEを自動コーティングするので、接触感染対策・塵埃感染対策の負担が劇的に減る。

従業員と顧客の安全を守る

これから、飲食店も二極化していくことだろう。客がよく入り、活気もあるが、スタッフが足りずに思うように営業できなかったり、大事な料理人を失ったり、食中毒で営業停止を受けたりするお店と、堅実に客も入り、安定した経営が続くお店だ。前者はもう全員がマスクをとっているお店、後者はいまも全員がマスクをしているお店となる可能性が高い。
例外はもちろんある。これは営業形態による。新型コロナに限定すると、屋台のラーメン店はスタッフがノーマスクでも、客の感染リスクは低い。換気がいい上に、ウイルスは熱に弱いので、熱々のラーメンは安全だ。
目の前で調理するカウンター方式の焼鳥店などもリスクは低い。巨大な換気扇の真下で食べる構造になっており、焼きたてが出てくる(ただし、ラーメンはメンマや味玉などのトッピングが汚染されているとアウト、焼鳥店でもつけあわせのサラダが汚染されているとアウトなので、油断は禁物だ。やはり換気がよく熱々の料理を出すお店でも、マスクを勧める)。

安全安心を確保できてこそ、料理もお酒も楽しめるというもの。私はまずCO2計と粒子計を入手し、店内で計測することを勧める。CO2濃度が1,000ppmを越えているようなら、換気能力をあげることを考える。粒子計の数値が悪いなら、空気清浄機を設置する。高価なものでなくていい。むしろCorsi-Rosenthal Boxを自作することを勧める。その上で、清掃や調理にGSEを活用してもらいたい。そして、なにより優先は、空気をきれいにすることと、スタッフがマスクをすることだ。

もはやこれは感染対策というよりは、むしろ安全対策である。このままお店として感染リスクを無視していると、経営者が労働安全衛生法違反を問われるようなケースも出てくるかもしれない。労働安全衛生法は、「事業者は職場における労働者の安全と健康を確保しなければならない」と定めている。

知っておいてもらいたいのは、新型コロナウイルス感染症は、なにもしないでいると、年に2回くらいは感染を繰り返してしまう病気だということだ。そしてそのたびに、Long COVIDを発症するリスクが高くなる。
「もう5類だし、各自の責任で」は通用しない。「5類だからこそ、店ぐるみで従業員とお客様の安全を確保しよう」という態度が正しい。そしてそれによって、営業停止処分を受けるような食中毒の発生も、スタッフが足りなくなるという困った事態の発生も防ぐことができる。
「もう2020年のような自粛自粛はこりごりだ」
と言いたくなる気持ちはわかるが、いま感染対策をスルーしていると、結果として、再び営業自粛を迫られるような事態を招きかねない。しかも、食中毒事件やクラスターで客足が遠のいても、補助金はどこからも出てこない状況だ。自業自得が基本とされる社会で、自衛しないのは自損事故でしかない。

いまはまだ、いきなりフルスロットルでぶっとばすと事故が起きやすい状況である。マスクと空気清浄(換気と空気清浄機)、そしてピンポイントのGSE利用で、徐行しながら営業することを勧めておく。「まだマスクをしているのか」と怒ってくる客は、シェフが感染して味覚障害嗅覚障害になっても、スタッフが慢性疲労症候群となって仕事ができなくなっても、その責任はとってくれないのだから。
(「GSE活用法:家庭内感染を防ぐ」に続く)

MISTECTとBNUHC-18は直販ストアでの販売

注記

*1
新型コロナウイルスは筋肉系にもダメージを与えるから、新型コロナ感染から戻ってきた従業員をすぐに仕事に戻すのは避けるべきだ。一か月くらいは、肉体的負荷の低い仕事をさせるくらいでないといけない。この記事がわかりやすい。
■コロナ後遺症の「だるさ」、筋肉にまで根深いダメージ、最新研究(日本版ナショナルジオグラフィック)
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/021900098/

*2
ドイツのフェスティバルで起きたノロウイルスクラスターに関する記事
■Germany norovirus: Eight hundred fall sick at Stuttgart spring festival
https://www.bbc.com/news/world-europe-68903481

*3
ノロウイルスはこれまで糞便感染や吐瀉物からの塵埃感染だと言われていたが、この研究により唾液腺にも感染し、口腔がウイルスの複製場所となり、唾液によって感染することが明らかになった(2022年)。いまではノロウイルスはIRPs感染(空気感染)するウイルスに分類されている。
■Enteric viruses replicate in salivary glands and infect through saliva
https://doi.org/10.1038/s41586-022-04895-8

*4
新型コロナウイルスパンデミックでは、「空気感染」をめぐって専門家と市民の間で深刻な齟齬が起きてしまった。時系列に留意しながら、改めて整理しておく。

  • 「乾燥したウイルスの飛沫核が浮遊して、それを吸いこんで感染すること」を空気感染(airborne)と専門家は定義しており、該当する病気は麻疹、水疱瘡、結核の3つのみとされていた。
  • 新型コロナウイルスは当初、乾燥した飛沫核で感染するという科学的な証明はなかったため、専門家は「空気感染ではない。それはエアロゾル感染である」と主張した(現在は乾燥した飛沫核でも感染するとされている)。
  • 決して専門家が「空間中を漂う病原体を吸いこんで感染すること」を否定していたわけではない。2020年3月に発表された「3密を避けよう」という注意喚起の筆頭は「密閉された空間」である。あくまでも新型コロナを「麻疹・水疱瘡・結核」の仲間にいれていいのかという(専門家ならではの)議論であった。
  • しかし、市民の間では「空気感染ではない」が「空気感染はしない」と解釈されてしまい、「現実に空気感染しているとしか思えないのに、それを認めようしない」という批判まで起きた。
  • その上、「空気感染」という用語から「空気が通れば感染する」→「マスクをしても呼吸ができるのだから感染する」(マスクに意味ない)とか、換気をしようとすると「危険だ」(外からの空気で感染する)という人まで出てきてしまった。

という流れだ。この混乱は世界的なもので、WHOはこれを整理するために、乾燥した飛沫核なのかエアロゾルなのかは問わない。両方とも「IRPs」(Infectious Respiratory Particles. 感染性呼吸器粒子)であると定義を改め、IRPsを吸いこんでの感染(airborne)、IRPsが鼻や目などの粘膜に付着しての感染(Direct deposition)のふたつがあると整理している。
上の注記にも書いたが、今後、私は「空気で感染する」という誤解を招かないためにも、「IRPs感染」と書くことにする。マスクはたしかに空気を通すが、IRPsを分子間力で繊維に捕集する能力があり、感染予防の役には立つ。
■Leading health agencies outline updated terminology for pathogens that transmit through the air
https://www.who.int/news/item/18-04-2024-leading-health-agencies-outline-updated-terminology-for-pathogens-that-transmit-through-the-air

*5
■Got food poisoning? One of these 4 bugs is likely the cause
https://www.nationalgeographic.com/science/article/types-of-food-poisoning-listeria-norovirus-salmonella-ecoli

ついでに書いておくが、日本ではなぜか「新鮮なものなら食中毒は起きない」という都市伝説がまかり通っていて、飲食店主ですら、「この鶏肉は新鮮だから、刺身で食べて問題ない」と言いはったりするから要注意だ。たとえ新鮮なものでも、鶏肉はカンピロバクターで、牛肉はO157で汚染されていることがあるから、問題なのである。かつ、カンピロバクターは肉の内部にまでひそむので、表面を焼いただけでは安全性は確保されない。
鹿児島県や宮崎県のように、鳥の生食文化を続けるための特別な衛生基準で処理したものでないかぎり、新鮮な鶏肉でも芯まで加熱していなければ食中毒は起きる。O157は表面にしかいないので、牛肉は表面を焼くだけで問題ないが、ハンバーグや安価なサイコロステーキのような加工肉では話が別だ(挽き肉にする工程でO157が中までまぜこまれていることがある)。
表面を焼いてO157を処理した上で、中の肉をとりだして加工しているものでない限り、レアのハンバーグやユッケ系のものはリスクが高い(当然、こういう加工をするから、安いはずもない。安価なレアハンバーグは避けるのが正解)。

*6
アメリカのマクドナルドの集団食中毒について
■Outbreak Investigation of E. coli O157:H7: Onions (October 2024)
https://www.fda.gov/food/outbreaks-foodborne-illness/outbreak-investigation-e-coli-o157h7-onions-october-2024

*7
実験はMISTECTにアルカリ溶液をセットして、部屋のどこまでその成分が付着するかを確認する方法で行った。これはMISTECTの能力をみたものである。あわせて、GSEの効果が持続することは落下菌の実験で確認している。また、GSEが新型コロナウイルスや鳥インフルエンザウイルスを抑制することは、研究論文で公知となっている事実である。

これは実験ではなくただの実感だが、MISTECTの効果をみるみる実感できたのは、以下の2件である。「感染リスクが減る」ことを実証するのはかなり難しいが、隅々にGSEが行きわたっていることはこれで実感できる。

  • (緊急事態宣言で)半年間閉鎖していた地下の喫茶店
    入ったとたんに「うわっ、カビ臭い」という状態だったが、MISTECTを30分間稼働させるだけで、すっかり匂いも消え、その後もカビ臭はない。目に見えない部分でのカビも抑制できたと考えられる。
  • 喫煙室
    ある工場の喫煙室で実施したところ、しつこい匂いが瞬時に消え、しばらくその効果も定着した。

この能力からすると、MISTECTは以下の用途にも活用できるものと考えている(実証実験目的ならば、機材と薬剤を無償提供します)。

  • 鳥インフルエンザ対策
    ウィンドレス鶏舎なら、室内全体を鳥インフルエンザに強い環境にできる。GSEが鳥に有害ではない薬剤なのもポイントだ(海外で小鳥のケージ清掃に推奨されているのがGSEである)。
  • 院内感染対策
    GSEはMRSA/VRSAや緑膿菌もよく抑制することから、病室にMISTECTを使っていただくと、院内感染リスクが低下すると予想できる。