[COVID-19]残念な手洗い、残念な検査要求への対応

最近、いくつか残念な行動を目撃した。ひとつはアルコール消毒。せっかくお店の前にアルコール消毒液を用意してくれているのに、私の前の人は、「チョン」と触って指先にすこし出し、濡らしただけで行ってしまった。なんだそれ。ほとんど意味ないぞ。

もうひとつは、洗面所での手洗いだ。隣の人は、水を出して指先を流し、それだけで行ってしまった。これはダメだ。彼とはかかわりたくない。

アルコールと石鹸で、ウイルスを破壊するのだ!

第一の例は、ウイルスをナメている。手の全体についていると想定すれば、しっかりワンプッシュを押し込んで(あのポンプは、押し切ると必要量が出てくる構造なのだ)、そのアルコールをまんべんなく手のひら、甲にこすりつけるようにのばし、蒸発させる。

ここまでやらないと、ウイルスを不活性化できない。手には皺など窪みが多数あり、そこにウイルスはひそんでいるからだ。爪の周囲もである。この際、爪は短く切っておくことを勧める。女性にとっては辛いことかもしれないが、きっとしばらくの辛抱だ。

第二の例は、「手洗い」=「ウイルスを水で流す」という誤解が原因らしい。そうじゃない。石鹸でウイルスを不活性化するのである。そのメカニズムについて、すばらしくわかりやすく説明したサイトがあるので、紹介しておく。

コロナウイルスはなぜ石けんや洗剤で殺されるのか—高校化学のレベルで解説

両方とも、本人が「アルコール除菌した」「手洗いした」と思い込んでいるところが怖い。この二つが必要という理解があるなら、もう一歩進めて、効果のあるやり方を徹底してほしい。そこまで情弱だと、友達、なくすよ?

「検査、検査、検査」への対応

海外から、病院の集中治療室がパンクし、重症化しているのに自宅待機させられ、そのまま亡くなる事例や、ほかの重い病気の人が治療を受けられずにいる事例などが紹介されはじめたせいか、「ともかく検査しろ」という意見は減っているようだ。

すでに書いてきたように、やみくもな検査には反対である(必要な検査はすべき)。これは条件付き確率で数学的に判断できる事柄なのだが、それをわかりやすく説明したYouTube動画があった。これもすばらしい仕事だ。

むやみな検査を行ってはいけない理由、数学的に説明します【条件付き確率】

一方で、WHOがいきなり「ともかく検査、検査、検査だ」と言ったという情報が乱れ飛んでいる。気になって原文にあたってみた。

We have a simple message for all countries: test, test, test. Test every suspected case. If they test positive, isolate them and find out who they have been in close contact with up to two days before they developed symptoms and test those people, too. Every day more tests are being produced to meet the global demand.

“Test every suspected case.” (疑わしき場合は検査を)とある。Suspected caseに検査するのは私も賛成だ。しかしこの「前提条件」を外して報道するのは、どうかと思う。

suspectとdoubtの違いを久しぶりに思いだした。クロだと疑うのがsuspect, シロだと信じるのがdoubtである。すなわち、suspected caseは「クロの疑いがあるときは」ということだ。