阪神・淡路大震災から25年が経過し、当時の記録をインターネットに残していく試みもさかんだ。たとえば神戸市は「神戸GIS震災アーカイブ」 を公開している。
阪神・淡路大震災「神戸GIS震災アーカイブ」の公開について
https://www.city.kobe.lg.jp/a05822/20200116040301.html
「POSで支援」というアイディア
大震災後、雑誌に寄稿したことだが( 「大震災とインターネット」、『諸君』1995年4月号掲載) 、それが25年たっても実現できていないので、再度書いておきたい。震災時の支援に「コンビニPOS」を利用してはどうか、という話である。
阪神・淡路大震災の規模になると、必要な物資も膨大である。人口密集地での災害だからだ。水も必要、電池も必要、生理用品も乳児用品もいる。そして必要なものは、時々刻々と変わる。その効率的な支援を、コンビニのPOSを使ってできないか、というアイディアだ。
POSはPoints of Salesの略で、バーコードを読むたびに、売上が即時カウントされている。その能力を活用したい。次のようなステップとなる。
- 全国のコンビニに「救援物資寄付用バーコード」を用意する
- それをみて、店頭で「水が足りないなら、1ケース寄付します」などと選択する
- 店員は当該バーコードを読み、決済をする
- 本部のサーバで全国から寄付された物品の情報をまとめ、被災地に最も近く、動けるコンビニから配達する(売上を被災地のコンビニにつけるともっといい)
- 本部のサーバに集約される寄付状況データを現地の災害対策本部と共有し、つねに「いま足りないもの」をアップデートする(バーコードを読んだときに、「水は足りています」といった表示を出す)
コンピュータとネットワークを活用して、トラックをも倉庫として使う進んだ業界だ。これくらいのことは、その気になればできるはずだろう。ぜひ業界内で話し合ってほしい。
仕分けの苦労くらい、想像すべき
この方式を実現できれは、被災地の負担が減る。阪神・淡路大震災のとき、現地が頭を悩ませたのは、荷物の仕分けだった。善意がぎっしり詰まっているものほど、始末に負えない。箱をあけると、靴下から電池まで、いろんなものが入っている。
それをひとつひとつより分けて、乾電池は乾電池の箱へ、生理用品は生理用品の箱に詰めなおさないと、次のステップにうつれないのだ。ただでさえ被災して人手がない状態である。荷物の仕分けという、余計な負担を被災地にさせるべきではない。
せめて、箱の中身は「同じもの」(単三電池なら単三電池だけ、タオルならタオルだけ)にして、外に大きく内容を書くべきである。震災発生時のアーカイブを残すことも重要だが、それから数か月の間、現地がどんなことに困ったのか、という情報も、知識として整理し、ひろめていかなくてはならないと思う。