クラシックを聴こう!主宰の古瀬です。私は科学・医学ジャーナリストという肩書でも仕事をしており(じつは著書多数)、2020年から継続して新型コロナウイルスとCOVID-19についても調べています。音楽を安心して楽しめる世界を早く取り戻せるように、新型コロナウイルスの最新情報をお届けします。
クラシックコンサートは安全でした
これはみんなでお祝いをしたいくらいです。ワクチン接種とともに行動制限がゆるみ、第7波の最中でも普通にコンサートが行われていました。ロックコンサートではクラスターの発生がありましたが、クラシックコンサートでは大規模な感染(クラスター)事例は報告されていません。やはり、全員がマスクをし、静かに聴くクラシックは感染リスクが小さいことがはっきりしたと言っていいでしょう。
しかしながら、楽団・演奏家にはリハーサルなどでの感染拡大事例があるようです。重々承知されていることと思いますが、自分でも演奏される方は、とくに練習時の感染予防策にご留意ください。換気がとくに大事です。
サロンコンサートは換気に注意
換気の目安となるものとして、二酸化炭素濃度があります。私も携帯型CO2センサーを持ち歩いて、コンサート中に測定していました。東京文化会館小ホールなど天井の高いホールは軒並み1,000ppm以下で、ビル管理法における空気環境基準を満たしている。換気はとてもいい。これなら感染リスクは低いです。
ただ一度、天井の低い定員80名ほどのサロンコンサートにお邪魔したとき、演奏終了後の二酸化炭素濃度が4,000ppmを越えていて驚きました。演奏家さんにご挨拶くらいしたいところでしたが、早々に退散。4,000ppmは頭痛やめまいが起きてもおかしくない濃度です。それだけ換気ができていないということ。
これをお読みになったサロンのみなさん、演奏終了後、迅速に換気する工夫をぜひお願いします。
第8波がはじまった
冬の感染の波は寒さとともにやってきます。欧州から第8波が始まり、カナダやアメリカでも感染者が増え、そして日本では北海道がまっさきに感染者増に見舞われました。すでに北海道は、第7波のピーク時よりも多い感染者数となり、札幌では救急医療が崩壊しています(救急搬送なのに3時間待ち。こうなると心臓発作や交通事故などで、いつもは助かる人が助からない)。東京でも感染者増がニュースになり、各地で学級閉鎖が増えています。第8波がはじまったとみるべきでしょう。
私は、第8波が過去最悪の被害を出してしまうことを危惧しています。すでに死者数の増加が目立つ。以下にそう予想する理由を挙げます。
- 今回はインフルエンザも同時に流行しそうであること
過去2年半にわたって、全員マスクと手洗いが功を奏し、インフルエンザを抑え込んでいました。しかし政府はマスク着用もゆるめる方向で、この冬はインフルエンザも同時流行する可能性が高そうです(欧米では同時流行している)。 - 「オミクロンでただの風邪論」がはやり、気がゆるんでいること
もう弱毒化して、ただの風邪、という人が増えました。デマとしか言いようがないのですが(後に詳述)、軽い症状で終わる人が多いことも事実。こうなると気がゆるみます。そこにウイルスは必ずつけこんできますから、第8波の感染者数は第7波のそれを越えるでしょう。 - 子どものワクチン接種が進んでいないこと
オミクロンから、新型コロナウイルス感染症は「子どもが感染して、大人が苦労し、高齢者が死ぬ病気」になりました。感染拡大を阻止するには、子どもの感染対策が重要です。
しかし、子どものワクチン接種がほとんど進んでいません。第6波から家庭内感染が増え、第7波では明確に家庭内感染が主たる感染経路になっています。第8波はますますその傾向が強くなり、感染者を増やすだろうと想定されます。
もう飽き飽きしているでしょうが、それでもなお「いまが過去最高に危険」だという意識をもち、感染対策に留意していただきたいと思います。なお、この冬はインフルエンザワクチンを接種することを勧めます。2年半にわたって国民の大半がインフルエンザを経験していませんから、全員が抗体をなくしており、誰もが感染しやすい状態になっているからです。
地方ほど注意が必要
第7波はつい最近のことでした(7月-9月)。とくに都市部は救急医療がマヒするほどひどい状況でした。そしてこのことが、第8波をこれまでと違う形にしています。感染者が真っ先に増えたのは東京・大阪など人口密度の高い都市部ではなく、北海道、続いて山形、長野、宮城です。共通しているのは寒さですが、それだけではなく、地方という点も大きいのです。
都市部は第7波にやられたばかりですので、感染による抗体をもっている人も多い。地方から第8波が始まったのは、こういう背景もあります。東京があまり増えていないからと安心しないようにしてください。
また逆に、都市部は今後の変異体の置き換わりによって、感染者増が見込まれます(感染して免疫がついたばかりの人も、変異体が変わると感染しやすくなるため)。立ち上がりが地方より遅れるでしょうが、変異体による感染増の場合は、急激に感染者が増え、医療崩壊してしまうでしょう。このツイートを参考に、事前に医療用(体外診断用)抗原検査キットと、解熱剤やのど飴などを入手しておくことを勧めます。間違っても「研究用」と書かれたキットは買わないようにしてください。
発熱した当日の検査では、(まだウイルスが少ないため)陰性に出てしまうことが多いので、発熱した翌日に検査してください。なお、自宅療養中に注意すべきは、このような状態になった場合です。
甘くみてはいけない。新型コロナは怖い病気
「オミクロンは弱毒化し、もう風邪のようなもの。ワクチンの副反応のほうがきつい。感染して免疫をつけたほうがいい。オミクロンが生ワクチン」
「ウイルスは変異のたびに弱毒化する。世界ではもうコロナは過去。マスクもとって日常を取り戻している」
などとよく言われているようです。私は反対します。甘くみてはいけません。すでに2022年は11月の段階で死者が3万人となりました。そして現時点で、この病気は感染しないほうがいい病気です。一度感染した人は、二度三度と感染することを避けるべきです(早く医療が発達して欲しいです)。
第一に、感染者は非感染者に比べて、脳梗塞や心筋梗塞など血管系の病気になるリスクが大きくなります*1。また、ワクチンがそのリスクをさげることも判明しています*2。
第二に、急性期を脱しても、咳などが長期間続いたり、倦怠感に悩まされたり、頭に霧がかかったようになってボーッとしたり(ブレインフォグといいます)、認知障害を起こしたりする現象が観察されています。長く症状が続くことからLong COVIDと呼ばれており、困ったことに有病率が高い。感染者の20%という研究もあります。これはものすごく高い確率です。5人に1人ですから。
これと関連して、新型コロナ感染で脳や肺に影響が出ていることや、臓器すべてにウイルスが感染していることなどが判明してきました*3。ウイルスが生産するタンパク質が心臓に悪影響を与えているという研究も出ています*4。けっして、ただの風邪ではありません。感染抑止に失敗し、120万人以上の死者を出したアメリカでは後遺症患者も多い。400万人がLong COVIDのせいで失業(働ける状態ではないということ)し、社会問題となっています。
そして第三に、繰り返し感染することで、重症化リスク、後遺症リスクが高くなります。このツイートにまとめられています*5。
ワクチンを接種しても感染するくらいで、自然感染でも何度も感染します。すでに日本でも、春に感染して、夏にもまた感染した子どもが出ています。COVID-19とはそういう病気です。そして、感染を繰り返すことで、健康を損なうリスク(年齢が高いと死亡するリスク)が高くなってしまうのです。
軽く考えたくなるのはわかります。もうマスクをとりたいという気持ちもよくわかる。私もそうです。しかし、いまこそもう一度感染対策を強化するべき時期です。いま感染を予防すると、次の二つのメリットがあります。
- 医療崩壊を避けられる
すでに札幌や長野で、救急医療が崩壊しているようです。第7波では東京などでも崩壊してしまいました。こうなるといつもは助かる発作や事故でも助からない。その根本原因は、感染者が急激に増えすぎること。ひとりひとりが感染しないようにがんばれば、そのぶん、崩壊することも避けられます。 - 発達した医療の恩恵を受けられる可能性が高くなる
もちろん世界中で研究が続いています。身体にダメージを与える機序がわかれば、クスリができる可能性も高まる。感染するのが遅ければ遅いほど、医療の恩恵を受けることを期待できます。
最大の課題は家庭内感染を防ぐこと
もちろん、それぞれが感染対策に留意されていることだと思います。それでも、いま一度点検してください。第8波は、冒頭に書きましたが、政府が感染増を容認する姿勢に転換したこともあり、過去最悪の被害となる可能性が大きい。これまでのような手厚いケアを期待することは難しい状態です。
重要なのは換気です。そしてやはり手指衛生にも留意してください。第7波から激しい咽頭痛の患者が多数出ています。これはノドにウイルスがとりついているということですから、手づかみで食べたりするものから、口に入って感染している可能性が高い。会食も要注意です。相手が感染者なら、ウイルス入りの飛沫が食べ物に降り注いでいます。子どもの食べ残しを片づけた親が感染した事例もあるようです。
欧米はこの冬、新型コロナだけでなく、インフルエンザとRSウイルスの感染も爆発したトリプルデミックとなり、小児医療が崩壊しています。マスクと手洗いは少なくとも、インフルエンザとRSウイルスの感染予防に役立ちます。この二つを防ぐだけでも、医療崩壊を防ぐことに役立ちます。
お子さんがいる家庭では、家庭内感染を防ぐことが最重要課題です。デルタ変異体までの常識は捨ててください。オミクロン変異体から、新型コロナは子どもがまっさきに感染し、親が苦労する病気になっています。
GSEを活用してください
私は新型コロナウイルスが世界的パンデミックを引き起こしたことが明確になった2020年4月、GSE(Grapefruit Seed Extract)という植物エッセンスに出会い、これこそウイルスと戦う武器になるものだと直観。研究を開始して、9月にMISTECTを、翌2021年1月にBNUHC-18を商品化しました。
GSEはグレープフルーツの種子からとった植物エッセンスで、800種類の菌・カビ・ウイルスを抑制します。大きな特徴が二つあります。第一はヒトにもペットにも安全であること。海外ではサプリメントとして飲んだり、点鼻薬に使われたりしていますし、国内でも多数の化粧品や食品の品質保持剤として使われています。頻繁に使っても手荒れもしません。ウイルスと戦うには、ふんだんに使ってもヒトに安全な薬剤でないとダメだと考えて注目しました。
GSEの中身は植物フラボノイドで、抗酸化物質です。高血圧症のクスリを服用される方にも安心です。グレープフルーツで問題になるフラノクマリンという成分は皮と果肉に含まれるもので、種子抽出物であるGSEには含まれていません。
第二は、効果が持続することです。GSEを使った台所用除菌剤が大手メーカーから発売されていますが、パッケージには「効果一カ月保証」と書かれています。GSEは揮発しにくいので、効果が持続するのです。
このGSEをさまざまな菌・カビ・ウイルスを秒単位で抑制する濃度の水溶液にしたのが、BNUHC-18(BC18)です。なるべく安価に使っていただけるよう、5L単位での販売(20L版もある)としました。
開発時に気にしていたことは二つ。第一は家庭内感染を防ぐことですが、第二は音楽教室の感染リスクを下げることです。防音重視なので、換気もしづらい部屋で、比較的近い距離で教えるしかない。一方、アルコールや二酸化塩素など他の除菌剤は、ピアノの鍵盤をひび割れさせたり、弦を錆びさせたりしてしまう。GSEは抗酸化物質ですから、モノへの影響も小さい。鍵盤がひび割れることも、弦が錆びることもありません。
クラきこの仲間のみなさんには、ぜひ演奏家支援モデルをお使いいただければと思います。お好きなスプレーボトルに詰め替えてご利用ください。以下のリンクからご購入いただけます。
BC18と組み合わせるおススメのスプレーボトル情報はこのページをご覧ください。
現状、家庭内感染を防ぐのに有効な薬剤は、GSEをおいてほかにありません。部屋中にアルコールを噴霧すると爆発・炎上の危険がありますし、塩素系の薬剤やオゾンは、ウイルスに効果のある濃度で使うと、健康被害が出てしまう。ヒトに安全なGSEをぜひご活用ください。
なお、私の研究成果は随時ツイッターで発信しています。最新情報はこちらのアカウントをフォローなさってください。
https://twitter.com/yfuruse
また、日常の感染予防策については、この記事にまとめてあります。
私家版新型コロナ感染予防策
クリニックや音楽教室、音楽ホール、介護施設や保育園で感染を防いだ実績のあるMISTECTについては、こちらの記事をご覧ください。
GSEとMISTECTが新型コロナ対策に効果。除菌作業を自動化し、感染リスクを最小化――二次感染者ゼロの実績が示す除菌能力――
注記
*1 新型コロナ感染で血栓ができやすいことがわかっており、スウェーデンの感染者86,742名(2020/2月-9月)の調査で、
- 急性心筋梗塞のリスクが曝露後1週目で8.44倍、2週目で2.85倍
- 脳梗塞のリスクは曝露後1週目で6.18倍、2週目で2.85倍
となっていた。
cf.
Risk of acute myocardial infarction and ischaemic stroke following COVID-19 in Sweden: a self-controlled case series and matched cohort study
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00896-5/fulltext
同様の研究はほかにも多数。たとえば、この論文では感染後に脳卒中、不整脈、心筋心膜炎、心筋梗塞、塞栓症が増えることが指摘されている。
cf.
Long-term cardiovascular outcomes of COVID-19
https://www.nature.com/articles/s41591-022-01689-3
*2 たとえばこの研究では、ワクチン非接種で感染した人に比べ、2回接種者は急性心筋梗塞が52%、虚血性脳卒中が60%少ない。
cf.
Association Between Vaccination and Acute Myocardial Infarction and Ischemic Stroke After COVID-19 Infection
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2794753
*3 たとえ軽症で済んだ子どもでも、肺にダメージがあり、持続的な肺機能障害を起こしていた。
cf.
Pulmonary Dysfunction after Pediatric COVID-19
https://pubs.rsna.org/doi/10.1148/radiol.221250
*4. https://www.medschool.umaryland.edu/news/2022/How-a-SARS-CoV-2-Virus-Protein-Damages-the-Heart.html
*5 ツイート主が依拠しているのは以下の論文
Acute and postacute sequelae associated with SARS-CoV-2 reinfection
https://www.nature.com/articles/s41591-022-02051-3