[災害対策]調理火力の話

明日は2026年1月17日だ。私の世代は誰もが1995年1月17日を思い出すだろう。阪神淡路大震災である。当日朝、気象庁の震度計では、神戸は揺れていないことになっていた。震度計の情報を送る回線が切れたためである。地震発生は5時46分52秒。たった10数分の差で、新大阪駅から西に向かう新幹線が救われた(始発は6時発)。

よりによって冬

有史以来、記録に残る大地震を季節でプロットすると、統計的に「冬に大地震が多い」と言える状態ではないが、阪神淡路大震災も能登半島地震は真冬。東日本大震災も雪がまだ降る3月の発生だったので、「冬にも大地震は起きる」ことは確実である(「冬は海面が下がり、プレートを押さえつける力が弱まるため、大地震が起きやすくなる」という仮説もあるが、これですべてを説明できるわけではない)。

よりによって冬が困るのは、この記事が説明しているように、命からがら避難しても、感染症に命を奪われるリスクが高くなることだ。夏場なら換気をするだけで、ぐっとそのリスクは下がる。

そして、冬の災害は精神的な打撃が大きい。被災者の話を聞くと、誰もが「ホッとしたのは、温かい食べ物にありつけたとき」という。おにぎりや弁当など冷たいものばかりだと、どこか落ち着かず、元気も出ない。温かい料理を提供する炊き出しはとても重要な支援だ

複数の調理火力を備える

炊き出しを待つことなく、自助するには、調理火力・調理器具を複数備え、日頃から選択肢を増やしておくのが有効だろう。在宅避難が可能な場合、調理火力が複数あると温かい料理にありつける可能性が高くなる。また、避難所にそれを持ち寄ることで、全員の気持ちが助かるかもしれない。以下、備えておきたい選択肢を具体例とともに列挙しておく。

カセットコンロ

イワタニの製品でおなじみ。ガスボンベも流通しているし、備えておきたいものの代表。おしゃれなコンロが多数あるが、災害対策を念頭におくなら、イワタニの「タフまる」がいい。風防ユニットがあり強風下でも火が消えにくい構造をしていること、専用ケースつきだから保管しやすく、地震で上からモノが落ちても壊れにくいことがポイント。風の強い日の浜辺で使った経験があるが、本当に火は消えにくい。
■イワタニ「タフまる

ホットプレート

インフラの中で、比較的復旧が早いのは電力だ。煙の出にくい焼肉プレートがあると日頃から使えるし、少し深めのホットプレートがあると、災害時には鍋物もつくれる。
■象印マホービン ホットプレート 3枚タイプ EA-HA30-HZ

ファイアグリル

いわゆるBBQグリル。さまざまなタイプのものがあり、好みのものを選べばいいと思うが、私がたどりついたのはこの形状。焚火台にもなること、コンパクトにケース収納できること、火によって高さ調節ができること、使用後の清掃をしやすいことがポイント。私はこれを「家の外」に保管している。部屋の中に保管すると大地震では取り出せなくなる可能性もあるからだ。
■UNIFLAME ユニフレーム「ファイアグリル」収納ケースセット

薪ストーブ

さらに余裕があるなら、薪ストーブにも手を出しておきたい。選択肢が多すぎて迷うが、温かい料理をつくるという主目的に、暖房としても使いたいということなら、この形状のものがいいだろう。直火でヤカンや飯盒を使ったことのある人なら、そのあとの清掃の面倒くささがわかっているはずである。災害時には水を自由に使えないことが多いから、直火タイプは避けたほうがいい。
■FANshift薪ストーブ「Flame tail」(フレイムテイル)

火種の話

ほとんど余談だが、ファイアグリルや薪ストーブでは「着火」が問題となる(BBQで炭火をおこすのに苦労したことがある人ならわかるだろう)。できれば、BBQも薪ストーブも体験し、どんなものがよく燃えるのかを経験しておくといい。郊外などスギの木がある場所では、枯れた杉の葉と小枝を集めることだ。

私は割箸を捨てずに(ある程度の量を)ベランダに保管している。「よく乾燥した細い木」は着火時に活躍するからだ。また、100円ライターとローソクを宅内と宅外の数か所に分散して保管してある。その上で、カセットコンロ用ガスボンベと炭をローリングストックしている。

火吹き竹はすごいぞ

もうひとつ、着火したあとのメンテナンスに有用なものを紹介しておく。火吹き竹だ。竹の節をぬいていって、最後の先端部分の節に小さな孔をあけるだけのものだが、これで息を吹き込むと火勢を強めることができる。作り方はこの記事を参考にするといい。
原始の焚き火を楽しむ「火おこし道具」を自作してみよう!」(BE-PAL)

使い方はこの動画をみるといい。

ハクキンカイロもお勧め

これもまた余談だが、災害時の「火種」で強いのはジッポーライターだ。しかし、喫煙しない人がジッポーライターを維持するのは大変。そこでお勧めしておきたいのがハクキンカイロ。日頃からハクキンカイロを使っていると、ベンジンを常備することになるので、災害時はジッポーライターに補充して使うことができる。
ハクキンカイロ(ベンジンとのセット)

ジッポーライターは種類がありすぎるが、デザインが違うだけ。災害対策に備えておくなら、安いスタンダード品がいいだろう。ジッポーライターを災害対策として勧めるのは、風に強い上、火をつけっぱなしにして置いておくこともできるからだ。映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』で手を縛る縄をジッポーライターで焼き切るシーンがあったが、100円ライターでこれをやると指をヤケドするので、同じ真似ができない。
Zippo Crome Classic Standard No.207

ジッポーファンなら、ハクキンカイロと同じ仕組みのZippoのカイロを買う手もなくはない(かっこいいが、積極的に推奨するわけではない。本家本元はハクキンカイロだ)。
Zippoハンディウォーマー

Zippoオイルの値段がかなり高くなっているように思う。ハクキンカイロ指定の「NTカイロ用ベンジン」のほうが割安かもしれない。