21世紀にもなって、子どもたちがこんな災難にあうとは思ってもみなかった。
もうみんなすっかり忘れているが、一昔前は、脆弱な子どもが多数、感染症の犠牲になったものだ。「5人兄弟だけど成人したのは3人」なんていうのが当たり前だった。私の伯父にあたる人物も、5歳で細菌性赤痢(疫痢)の犠牲になっている。
この状況を飛躍的に改善したのが、ワクチンと抗菌薬の発達だ。
無知で非情な一言
いまでも育児の悩みは尽きないが、少なくとも「2人の子どもを授かって、そのまま2人とも成人する」ことを当然のように期待する。受験の悩みのほうが、感染症で死亡する不安よりはるかに深刻という、はっきり言って喜劇的で幸せな状況なのだ。
これを当たり前と思ってはいけない(そうではない国もある)。医療の恩恵である。0歳児からさまざまな感染症に対するワクチン接種が進んだことが大きい。ちなみに、ワクチンも抗菌剤もなかった近代以前は、全乳児の約1/4は生後1年以内に死亡。子どもの約半数は、思春期の前に死亡していた*1。
この劇的な子どもの死亡率の減少こそ、医学の成果のうち最も誇らしいものだと思うが、これにただ乗りして、無茶を言う人が後を絶たない。
「子どもは昔から感染して免疫をつけて、強くなったんだ」
決してそんなことはない。感染して免疫をつける間に、何人も亡くなったのが現実だ。戦前ならこんな戯れ言を話した瞬間、子どもを亡くした親たちから厳しい批判を受けただろう。つまり、この発言は
「ひ弱な子どもは早く感染して、いまのうちに死んだほうがいい」
と言っているのと同じことだ。無知でかつ非情に過ぎる一言である。
cf. 日本の子どもが接種するワクチン
https://www.know-vpd.jp/children/children_explan.htm
憂鬱なのは、政治家にも多数、このような発言をする人がいることである。
「子どもは新型コロナにまず感染しないし、感染しても重症化することも、死ぬこともない。ワクチンなど不要!」
いったい、いつの知識で語っているのだろう。こんなに激しく変異するウイルスを相手に、昨年の知識のまま話すのは危険すぎる。2022年に入ってから上陸してきたオミクロン変異体で、すっかり様子は変わっているのである。
- むしろ最も感染しているのが子ども世代
- 率は低いが、重篤化する子も死亡する子も出ている
これがいまの姿だ。オミクロン以降、死亡率の高い高齢者の次に新型コロナの被害を受けているのは、子どもたちなのだ。
子どもは重症化しづらいが、重篤化はする
多くの患者をみた小児科医が、「重篤化する子どもはワクチンを接種していない」と言っている。ワクチンの効果を肌で感じているそうだ。そして、それはそうだろうと思う。新型コロナワクチンで最も期待される効果は、重篤化(重症化)予防効果である(「ワクチンをうっても感染するのはなぜか」を参照)。
ここまで私は「重篤化」と書いている。現在のCOVID-19の症状の分類では、肺炎の重症度によって分けている。「重症患者」とは、人工呼吸器やECMOで呼吸を支えないと、死んでしまう患者のことである。対して私の書く「重篤化」は、肺炎症状によらず、重い症状を示すことを言う。
COVID-19は、深刻な重い症状を、肺炎以外にもひき起こす。「ガラスの破片が刺さったような咽頭痛」がBA.5患者には多いのが特徴だが、これも私は重篤な症状だと思う。唾を飲み込むのも辛いそうだ。そして子どもたちは、咽頭痛のために水を飲めず、脱水症状を起こしている。
「子どもは重症化しにくい」というのは、誤解を与えやすい。あくまでも重い肺炎になりにくいというだけで、重い症状になる子はいる。以下は厚生労働省の第36回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(2022年9月2日)に提出された小児COVID-19の資料である。
注目は急性脳症の子も肺炎が重症化した子もいること、そして重篤化する子どもたちの68%が基礎疾患をもたないことである(2022年3月10日‐8月15日の数字。n=220とn=131)。
「低率」は「絶対数」で吹き飛ぶ
「なんだ、たったの220人かよ。しかも死んでないんだろ」
と口にしてしまう方は、親の後悔も当人の絶望もわかっていない。苦しむ子どもをみる親の気持ちを想像してもらいたい。かつ、この中には急性脳症や重症化した肺炎を起こしている子どももいる。どちらもまず、元の健康な自分には戻れない。
もちろん、200万人以上が感染して、重篤化しているのは200人と少しだから、率は確かに小さい。
「こんな低率なのに怖がるなら、クルマに乗るのもやめたほうがいい」
と言う人もいる。確率を考えれば正しいように感じてしまうけれども、いろんな意味でわかっていない発言だ。
まず、率がいくら低くても、絶対数が多いと犠牲者は増える。オミクロン変異体は、現場の医師たちが「こんなの過去に経験したことない」と驚愕するほどの感染力だ。どうしても絶対数は増える。
- 感染した場合の死亡率2%の病気で感染者が1万人
- 死亡率0.2%の病気で感染者が100万人
という二つの病気のリスク比較を、2%と0.2%の比較で判断するようなものだ。犠牲者が多いのは0.2%の病気のほうである。感染力というファクターを見逃していては、リスクの把握を間違える。
まさに新型コロナ感染は交通事故のようなもの。圧倒的に軽症者が多い点でも似ている。それが毎日20万件以上起きていたのが第7波である。交通事故の発生件数は年間で約30万件だから、3日間ごとに2年分の交通事故を経験していたことになる。
理由がわからない怖さ
交通事故は、かなりの部分は制御できる。無茶な追い越しやスピード超過、信号無視、脇見などをしないように注意し、安全運転を心がけていれば、遭遇する確率は小さくなる。もらい事故は防げないが、全員が安全運転をすれば、もらうことも減る。これを物理的に実現したのが最近の安全装備で、劇的に交通事故死者は減っている。いまや年間3,000人以下だ(つまり2022年8月の新型コロナは、たった一カ月で2年半分の交通事故死に匹敵する死者を出した)。
これに比べると、重篤化した子どもの68%に基礎疾患がなかったという数字は、怖じ気づくしかない現実である。いまのところ、どういう子どもが、どうなった場合に重篤化するかがわかっていないからだ。自分の子どもがそうなるかもしれないし、甥や姪がそうなるかも、子どもの親友がそうなるかもしれない。こればかりは、かかってみないとわからない。
要するに、どうすれば避けることができるかわからないから、怖いのだ。祈るしかない。これが宝くじの一等なみの確率(だいたい1000万分の1)なら、たしかにあまり気にする必要はないだろう。しかし、ざっと計算すると、子どもの重篤化は1-2万人に1人くらいの確率だ。
きっと重篤化はしないが、ひょっとすると重篤化するかもという覚悟もいる。それくらいの確率である。本当に重篤化してしまったら、「ほとんどの子が平気なのに、なぜうちの子だけ」と悔やんでも悔やみきれない。確率が中途半端に低いからこその残酷さがある。
ワクチンは重篤化を防ぐ。シートベルトを締めるようなものである。そして、これの積み重ねで、子どもの死者を激減させてきたのだ。
子どもの感染が急増した理由
それにしても、なぜ子どもの感染が急増したのか。その理由は、オミクロン変異体になってから、感染者が出す飛沫のウイルス量が増えたからだと考えている*2。このため、唾液での検査の陽性判定の精度もあがっている。
子どもと大人の生活を比べると、子どものほうが圧倒的に他人との距離が近い。フィジカルディスタンシングをとれないこと、そしてワクチン接種が進んでいないことが、感染拡大の主たる要因だとみる。
これに対する方策は二つだ。ワクチン接種を進めること、そして学校生活で人との距離が近い場面ではマスクをすることである。飛沫感染を防止するにあたって、マスクは優秀なツールである。「ウイルスは小さいからマスクを素通りする*3」と大騒ぎする人たちもいるが、ツバが飛ぶのはマスクで止められる。それで十分だ。ウイルスは呼気だけでなく、唾液の中に大量にいる(Ct=25以下の感染者の唾液1cc中には、1800万個のウイルスがいるという)。
2022年早々からの第6波がおさまってきた5月頃から、「かわいそうだから、子どものマスクを外せ」という声が大きくなってきた。
「ブースター接種をした大人の感染が減ったからといって、感染が続く子どものマスクを外せというのも乱暴な話だ。子どもたちは大半がまだワクチンを接種していない」
と指摘していたのだが、6月に入ったところで猛暑が続き、いきなりマスクが熱中症の主犯とされ*4、各地の教育委員会や学校に抗議が殺到。マスメディアも「マスクをとろう」というキャンペーンを始めてしまった。
その結果の、BA.5による第7波だ。その始まりが小児科の悲鳴だったことは、いつまでも記憶しておきたい。
ワクチンを接種して、マスクを外す場面を増やそう
私も、子どもたちにマスクはかわいそうだと思う。受難である。「一度きりしかない青春を奪うな」という意見についうなずいてしまう。でも同意はできない。人の命も一度きり、人の肺もウイルスに蹂躙されると再生できないからだ*5。
「かわいそうだ」というだけの理由で子どものマスクを外させろと教育委員会に電話した人たちは、高熱が続き熱性けいれんまで起こしている子どもたち、ICUで生死の境をさまよっている子どもたちに謝ってもらいたい。「子どもは感染しても無症状か軽症だから、感染して免疫をつけたほうがいい」とテレビでしゃべった自称専門家もだ。陽性発覚の翌日に急死した子どももいる。涙しかない*6。
なにより、子どもたちの感染が続く限り、社会は回らない。高熱にうなされる子どもをおいて仕事に出られる親は皆無だ。いや、そもそも親は濃厚接触者である。家庭内感染を防ぐのも難しい。子どもの親の世代が第7波だけでも、100人単位で亡くなっているが、その中には相当数、子どもから感染した人がいるだろう。こんなにも悲しい話があるだろうか。子をおいて亡くなる親も、親にうつした子も、無念すぎる。
この閉塞状況を打破することができるのは、現状、ワクチン接種だけだ。多数の子どもが3回接種というところまで進めば、マスクを外す場面も増やせるだろう。
COVID-19という病気の性質上、ワクチン接種済でも感染することはあるが、体内でのウイルスの増殖が抑えられるので、重篤化しにくいだけでなく、吐出するウイルス量も減る。つまり飛沫の中のウイルス量が減り、マスクをとりやすくなる。私も子どもにマスクはかわいそうだと思う。だからこそ、一刻も早くワクチン接種を進めるべきだ。
ノーマスク・ノーワクチンでは、一方的に子どもたちが新型コロナウイルスに蹂躙されるだけである。クラスの全員がワクチン接種済なら、「とっくみあいをするときだけはマスク」「柔道などのコンタクトスポーツのときだけはマスク」など、飛沫感染リスクの高い場面だけマスクをするように変更できるだろう。
そうこうしているうちに、劇的に効く薬(インフルエンザに対するタミフルのようなもの)が出てくれば、がらりと状況は変わる。ともかくいまは、眼前の被害を防いで時間を稼ぐことである。
「マジョリティ中和現象」に惑わされないこと
そうはいっても、ネット検索すると、新型コロナウイルスワクチン、とくにmRNAワクチンが危険だという情報が多数ある。「こんなにもワクチンを接種して死亡している」というブログ記事もあり、接種に迷ってしまうのはよくわかる。「専門家の間でも意見が分かれていて、どちらを信用していいのかわからない」という気持ちになるのも仕方がない。
いえ、違うのです。意見は分かれていません。世界中の大多数の専門家は、接種に賛成しています、とまずは申し上げたい。
Google検索でもSNSでも、情報がフラットに流れてしまうので、あたかも意見が大きく二つ(ワクチン接種派と反ワクチン派)に分かれているように見えてしまう。とくにツイッターのようなオープンなSNSでは、ワクチン接種を勧める投稿に、必ずといっていいほど、反ワクチン派からのコメントが入るので、両方の勢力が拮抗しているように見える。
これを「マジョリティ中和現象」とでも名付けよう。「ワクチンは効果があります」という投稿が、「こんなに死んでいるものを勧めるのか」というマイノリティからのコメントで中和されてしまう。詳細に検討するとデマだとわかるものが圧倒的に多いのだが、読んだ瞬間は、そんなことはわからない。
これは、ネットと両論併記にこだわるマスメディアだけの現象だ。現実の学界では、大多数が賛成している。1日100万回のワクチン接種をになった医療従事者の半数が、じつは接種に反対だったなどということはない(もしもそうなら、ここまで接種は進まない。必ずサボタージュされる)。
なぜ接種に賛成しているかというと、49億人への接種実績を世界中で専門家が研究しており、重症化予防に効果があることを確認する一方、安全性に疑問が出るような現象はこれまでのところ観察されていないからだ(そうはいっても、大勢亡くなっているじゃないか、という方は、そのからくりを書いたこちらの記事を参照していただきたい。→「PCRと死因のデマに踊る人々」)。
国境を越えた科学コミュニティには確固たるものがある。製薬会社が金を詰もうが、どこかの政府が圧力をかけようが、「科学的事実の探究」がゆがめられることはまずない。
それを支えているのがインターネットの普及だ。たとえば、重大な副反応の情報を製薬会社が金の力で隠匿しようとしても、必ずその「隠匿しようとした事実」が流出する。良心のある研究者が副反応の論文を書く(これでその製薬会社は批判にさらされ、経営も危うくなる。それがネット社会だ)。
責任をとる国か、無責任なデマ屋か
「ワクチンをうつと心筋炎になる」
といった情報も多数拡散されているが、基本的に、ワクチンはヒトの身体にウイルスという外敵の予習をさせるものなので、副反応として起きていることは、本番の感染時にはもっと大きな影響が出る形で起きる。事実、副反応としての心筋炎よりも、感染しての心筋炎のほうが重大な結果になることが多い*7。つまり、ワクチンの副反応を怖がるよりは、ノーワクチンで感染しての症状を怖がるべきということだ。
マジョリティ中和現象で議論が拮抗しているように見えるが、mRNAワクチンは危険だ、ADEが起きる、副反応でこんなに人が死んでいると声高に言う反対派から、まっとうな医学論文が提出され、学界にセンセーションを巻きおこすといった現象も観察されていない(「私が某ウイルス学者を肯定していない理由」参照)。
そもそも、国は予防接種法で副反応被害についても補償すると規定している。責任をとると言っているわけだ。対して、反ワクチン派は、その言い分を聞いてワクチンを接種しなかった子どもが受けた被害に対して、なんの責任をとることもない(民事訴訟の余地はある)。
選択すべきはどちらか。考えるまでもないだろう。
子どもへのワクチン接種を勧める最大の理由
いまここで子どもへのワクチン接種を勧める最大の理由は、第7波の教訓である。小児科に患者が殺到し、200名を越える重篤患者を出してしまった。この秋冬にきっとやってくる第8波では、インフルエンザとのダブル感染(Fluronaと呼ばれている)も予想されており、さらに小児科が圧迫されるに違いない。「ウイルス干渉があるから、コロナが流行していればインフルエンザは流行しない」という説もあるが、この冬(日本では夏)のニュージーランドやオーストラリアをみれば、この説が間違っていることはわかる。
ワクチンの3回接種(インフルエンザワクチンの接種も望ましい)でしっかり免疫をつけていれば、多くの子どもが軽い症状で済み、小児科にぐったりした子どもが列をなすことも少なくなる。怖いのは、小児科がパンクして、「治療すればなんてことなく治る子どもが放置されてしまうこと」だ。ともかくこれを防がなくてはならない。
新型コロナの議論で抜けているのが、何度もかかる病気だということである。実際、この春の第6波で感染した子どもが、また第7波で感染している事例が報告されている。複数回の自然感染によって重症化しやすくなるという研究がある一方、ワクチン接種と自然感染のダブルで、とてもいい免疫がつく(ハイブリッド免疫)という研究もある。
既に20%を越える子どもが感染したという調査もある。集団生活の子どもは感染から逃げきるのが難しい。近いうちに必ず感染するという覚悟がいる。ならば、その前にワクチン接種をしておくのは合理的な選択だ。まっさきに質の高いハイブリッド免疫を身につけられる。
なお、自分のワクチン接種体験で、副反応が大きかったからという理由で、子どもへの接種をためらう人もいるようだが、ご心配なく。子どもへのワクチン接種は重症化予防効果を重視し、接種量を減らしているので、ほとんど副反応はない(このあたりの決め方が素晴らしい。関係者にはキレ者がいる)。
子どもを国の方針変更の犠牲にしてはならない
私は、今夏は実験の夏だったと考えている。行動制限がなく、各地で夏祭りも盛大に開催された。ノーマスクのお祭りもその中にはあり、はっきりと結果が出ている。「対策をゆるめて経済を回そう」という新型コロナウイルスとの戦いは、今夏の緒戦で完敗だ。
にもかかわらず、政府は自宅療養の日数を10日間から7日間にする、療養中もマスクをしての必要最小限の買い物なら許可するなど、次々と緩和する方針だ。緒戦コールド負けの事実を無視している。これはもう、大量の感染者を意図的につくり、自然免疫を加えて、ハイブリッド免疫をつける方向に舵を切ったとしか考えられない。
私は反対である。理由は、現時点で子どもたちがワクチン接種から取り残されているからだ。この政策をとるなら、せめて子どもたちの3回接種率が80%を越えるまで待つべきだった。
このままでは、一方的に子どもたちが犠牲になる。
地方議会の議員さんには、心からお願いをしたい。地元の小児科で、発熱外来をしているところにヒヤリングに行って欲しい。脳症や肺炎でICUに我が子が入っている親の様子も見ておくべきである。意見が180度変わるだろう。
そして、子どものワクチン接種の普及を後押ししていただきたい。接種率は地方によって、こんなにも違うのだ。
注記
*1
https://ourworldindata.org/child-mortality-in-the-past
より引用
*2
Evolution of SARS-CoV-2 Shedding in Exhaled Breath Aerosols
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2022.07.27.22278121v2.full
*3
たしかにウイルスは小さいが、ホコリや酸素分子や窒素分子などと一緒に、静電気の力で繊維にからめとられるので、マスクで補集できることがわかっている。また、この種の人たちは、ウイルスはマスクで止まらないという一方、マスクで酸欠になるというから、信用ならない。ウイルスは通すのに、ウイルスより小さい酸素はマスクを通らないと平気で言う。
*4
「コロナ禍で出会った「想像力」のない人たち」に書いたマスクと熱中症の部分を再掲しておく。
もうひとつの熱中症との関連だが、マスクをしての作業をシミュレーションした実験がある。
◆マスク由来の体温上昇は確認できず、熱中症リスク検証(日経クロステック)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01380/00004/
これによると、マスクをして作業しても、熱中症と関係のある深部体温はたいして上昇しない。マスクをしたから熱中症になっているのではなく、熱中症が心配な気候なのに、適切な対策をとっていないから、熱中症になっているのである。
なかでも気になるのが、水分補給だ。昭和の学校では、授業中に水を飲むなんていうのは、まったく考えることさえできないことだった(怒鳴られ、廊下に立たされただろう)。なんと令和でも、この伝統が引き継がれているようなのである。これは無理だ。マスクのせいにするより、適切な水分補給と休息をとりながらの授業をするほうが先決だと思う。
*5
2022/1/25時点で、重症(人工呼吸器管理)となった子どもは累計、
10歳未満: 8人/10歳代: 6人
と少数だったが、オミクロンで急増し、1/25以降7/26までに
10歳未満: 90人/10歳代: 43人
が上乗せされている。これはゾッとする数字だ……と書いても、あまりピンとくる人がいない。前々から疑っているのだが、これが人工呼吸器だと勘違いしていないか?
これは酸素マスクで、あくまでも自発呼吸の補助である。人工呼吸器は自発呼吸では生命を維持できない人に使うもの(つまり、止めると死ぬ)。小さな子どもの気管を切開して挿入する。この状態になった子が、今年だけで130人以上いるということだ(涙)。
ここまで肺の組織がやられた場合、快復しても酸素ボンベからチューブを鼻につっこむ暮らしになる可能性が高い。肺は再生できない臓器の代表だ。本当に新型コロナウイルスはうっかりすると、子どもの未来を奪う憎い病気である(だから、無責任に「子どもは感染したほうがいい」という人間が許せなくなる)。
*6
基礎疾患のない10代の子どもが、感染発覚の翌日の死亡というニュースは、本当に衝撃だった。当然、親は濃厚接触者だし、死に目にも会えず、お葬式もできない。辛すぎる(心よりお悔やみを申し上げます)。
そしてなにより、「なぜこんなことが起きるのか」はいまだ解明されていない。COVID-19は「ただの風邪」というには、あまりにも怖い病気である。
*7
オミクロン変異体から、中等症で、肺炎は重くないのに、突然死亡する例が急増している。この記事によると、もはや死者の89%を占めているそうだ。そして私は、若い世代の中等症からの死亡は、重大な心筋炎をおこしていることもあるだろうと考えている。
新型コロナ “第6波”以降 中等症からの死亡が増加 90%近くに(NHK. 2022/9/11)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220911/k10013813641000.html
追記
「ワクチン後遺症で亡くなる子は無視か」というコメントをいただいたので、追記しておく。現時点で、接種と死亡の間に因果関係を認められた子どもはいない。前後関係であって、因果関係ではないという状態だ。そもそも大きな誤解があるのは、1例では判断のしようがない、ということである。同じような条件の子どもが、同じように死亡する例が複数積み重なって、初めて因果関係を見いだすことができる。
なお、ワクチン接種会場で、「数日間は入浴はやめてシャワーにしろ」とか「激しい運動、飲酒、喫煙は控えろ」といった注意喚起がまったくなされてないことは問題だと思う。いまからでも、この報告をもとに、注意喚起はするべきだろう。
コロナワクチンの副反応は予防できる?!
https://medical.jiji.com/news/52808
(2022/9/15追記)