独占禁止法を学びなさい

表題のとおりである。最近、「独占禁止法という法律があるのを、知っていますか?」と真顔で質問したくなる事例に遭遇した。

法律を理解するには、それが制定された目的をみるのが早い。独占禁止法の場合、「公正かつ自由な競争の促進」が目的である。ならば、この法律は「不公正で競争を阻害する行為」を規制するものに決まっている。

私が体験したのは、独占的立場で独占的に薬剤を供給する会社が、「言うとおりにしないと薬剤は売らない」と取引に制限を加えてきた事例である。独占禁止法第19条違反だ。

思いあがりもはなはだしい上に、著しく不公正である。しかし、そこが独占的立場にあり、薬剤を売ってもらえないと事業を継続できなくなるから、誰もこの驕慢な経営者に対して文句を言えないという構図。典型的な独占禁止法違反である。

公正取引委員会のウェブページをみると、有名な会社でも、独占禁止法の落とし穴にはまっている事例が多くて驚く。「公正競争促進法」ではなく、「独占禁止法」という名前になっていることからみても、理解しやすい法律である。新人教育は、独占禁止法教育を中心にしてもいいくらいだと思う。