[COVID-19]現場の医師からの報告

とてもいい報告がシェアされてきたので、ここでも紹介しておく。 倉敷中央病院 感染症科の上山伸也医長(専門は感染症診療、小児感染症、HIV感染、感染制御)によるスライドだ。

とくに目を通していただきたいスライドを以下に列挙しておく。

  • p.37
    80%は軽症、15%は重症、5%は致命的(その半数は死亡)
  • p.40/42/46
    罹患者の症状は、発熱・咳・倦怠感・呼吸困難・痰(たん)・筋肉痛
  • p.53
    軽症なら1週間で治癒。COVID-19でかつ重症なら、ここから悪化
  • p.60
    重症の76%は(PCR検査をしなくても)レントゲンで判明する
  • p.61
    重症例のほとんどはCRP 1.0mg/dLを超える
  • p.65
    手指衛生が大切。そして手指で鼻腔を触らないこと。
  • p.67
    PCR陰性は感染がないことを証明してくれない

検査をしない≠治療をしない

「検査をしようとしない政府は感染者数をごまかす気だろう」という、うがった意見も多い。クラスターに居合わせた人が「検査をして早く安心したいのに、検査してもらえない」と嘆く話がニュースに流れてくる。しかし、いくら検査したところで、相手は感染症であるから、安心することはできないという事実を忘れている。

このスライドをみても、やはり「ともかく検査をしろ」には合理性がないと判断する。罹患しても大半が軽症だし、症状が出ているのであれば、胸部レントゲンなどでCOVID-19感染者であることが判明することが多いからだ。

私は、「PCR検査をしない」を「治療をしない」へと脳内変換している人が多いのではないかという疑いをもっている。全国の医師たちは、いま目の前に肺炎を起こしている患者がいれば、「COVID-19に罹患している可能性が高い」と想定しながら、治療に全力を尽くしているはずだ。

そして、それでいいと思う。一部の重症化する患者の命を1人でも多く救ってほしい。なんの自覚症状もない人からの電話は、迷惑なだけだ。

追記

ダイヤモンドプリンセス号の医療支援に従事した医師の情報共有
COVID-19に対峙する全国の仲間に情報共有 山畑 佳篤

『日経メディカル』掲載
ICUに入院した重篤なCOVID-19患者52人の特徴」(大西 淳子=医学ジャーナリスト)